弁済保証金引き上げ 旅行会社の企業ガバナンスを強化(1) 観光庁のWGがとりまとめ
旅行業界に対する法規制が矢継ぎ早に打ち出されている。ツアーバスの事故が相次ぎ旅行業法が改正され、来年1月4日から施行されるのは周知の通り(本紙でも既報)。それに加えて「新たな時代の旅行業法制に関する検討会・経営ガバナンスグループ(経営ガバナンスWG、山内弘隆座長=一橋大学大学院商学研究科教授)」が検討していた、企業ガバナンスの強化とともに、保証金の引き上げを促す「弁済制度のあり方の見直し」の結果を8月31日、観光庁が公表した。同WGでは、旅行者に対する負債が約99億円にも達した「てるみくらぶ」の破産問題に端を発し、同様な事故の再発防止策を検討していた。
“てるみ”再発防止 18年4月省令改正へ
経営ガバナンスWGでは、今年3月に破産したてるみくらぶの事案(別掲参照)を踏まえ、消費者保護を図るため企業ガバナンスの強化や弁済制度のあり方について検討、このほど最終的な結果をとりまとめ公表した。
国土交通省と観光庁では今年12月から順次、具体策をガイドラインとして明らかにし、特に弁済制度については来年4月に省令改正を行う方針だ。
弁済制度のあり方については(1)弁済業務保証金制度の見直し(2)ボンド保証制度の見直し(3)保険商品の活用を示した。
弁済業務保証金は第1種旅行業者を対象に金額を引き上げる。現状、弁済保証金の分担金は旅行会社の年間取引額などに応じて決めているが、新たに、海外募集型企画旅行の取扱額に従って分担金を積み増しする。具体的な引き上げ額は年内にも観光庁が固め、取扱額が多い会社に示す。
ただし、海外募集型企画旅行の取り扱いが小規模な場合は、現在の保証額で弁済率が十分あるとして保証金の積み増しは行わないとしている。
最終報告書に記載されている「てるみくらぶ」の案件
本年3月27日、株式会社てるみくらぶ(以下「当該社」)が東京地方裁判所に破産申請を行い、同日受理された。同社の記者会見によると、すでに受け付けていた旅行は約3万6千件(当該社への申し込み人数にして約8~9万人)、旅行者に対する負債は約99億円に及ぶとのことであった。負債額の確定は、破産管財人による債権債務の整理を待たなければならないが、発表された内容をもとにすれば、旅行業者の破たんでは、旅行者に対する負債額、受け付けていた旅行件数の点から史上最大の極めて異例な事案である。
(トラベルニュースat 17年9月25日号)
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