食農観光の連携 JTBグループのPJから(1) J’sAgri・輸出からブランド化へ生産者と二人三脚
JTBグループが取り組んでいる食農観光の連携プロジェクト。JTB西日本では、果物を中心とした農産品を海外へ流通させると同時に、生産地への旅行を訪日観光の目的へと促す「J’s Agri」事業に取り組む。JTBパブリッシングは、旅行雑誌「るるぶ」の編集者が全国各地を取材して見つけた食材を提供する飲食店「るるぶキッチン」を展開している。いずれも、日本の高品質な食農を流通、情報化することでヒトの交流促進につなげようという試み。その取り組みは実を結びつつあるという。取材した。
品質、価格面で土俵整備 次は着地型へ
内需中心だった日本の農業を輸出型に転じさせる戦略を小泉内閣が打ち出した2005年、「面白そう」と手を挙げたのが、当時グループ会社に出向していた現JTB西日本営業部の西川太郎部長。以来12年あまり。ブドウやモモ、イチゴの販路を海外に求め、生産者と二人三脚でブランド化に努めてきた。
当初は農水省やJETROなどと連携し、海外で商談会を開催するなどしていたが、13年からJTB独自事業としてスタート。15年には「J’s Agri」ブランドも立ち上げた。
「海外への進出を本気で取り組む生産者とやってきました。テスト時にはいろんなことがありました。梱包の仕方がいい加減で輸送途中でブドウの実が落ちたり、今年は天候が悪いからと出荷するフルーツを打算で送ろうとする農家もいました。ブランドの構築は積み重ねで、たった1回のクレームで崩れてしまうもろいものだ、とか説いて回りました。その代わり、我々は台湾、香港のベンチマークとなる高級百貨店やスーパー、バイヤーとの関係づくりに取り組みました」

食農と観光の連携は
「旅行の世界と同じ」と西川部長
高品質な農産物づくりと販路開拓を行っていくと同時に、運輸会社とコラボして輸送コストを低減。価格面でも勝負できる土俵を整えた。また、大手ECサイトを経由して海外の消費者へ直販することも始めたものの、供給サイトでは自ら価格決定もなく、うまみもない。そこで西川部長は独自サイトを立ち上げる。
「今年9月にスタートしたばかりです。立ち上げ時の会員は100人に過ぎませんが、近い将来に1万人に引き上げたい。そうするとこの事業を軌道に乗せることができます」と意気込む。
(トラベルニュースat 17年11月25日号)
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