民泊新法施行1カ月 百戦錬磨・上山康博社長に聞く(1) 仲介サイトが市場をクリーンに
住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行され、1カ月が過ぎた。全国で民泊事業者からの民泊の届出状況は、6月末の時点で受理が3451件。札幌市の533件が最多で、次いで大阪市の180件、東京都渋谷区の161件。京都市は独自ルールがあり、届出を終えた民泊は比較的少ないという状況だ。民泊新法施行前に民泊仲介業の大手6社では「一般社団法人住宅仲介事業者適正化協会(仮称)」設立に向けた準備会合を開き、適正な民泊を推進する活動を行うとしている。その中心者であり、2012年の創業より一貫して合法での民泊事業を推進してきた百戦錬磨の上山康博社長に考えを聞いた。
“適正化”へ協会立ち上げ
―民泊新法施行前に違法民泊4万件を削除し、その対応が高く評価された仲介業者が新法施行後、違法民泊をサイトに掲載しているとして問題になりました。その仲介業者は今回設立準備を発表した協会の大手6社の中に入っていますが、きちんとした協会は設立できるんでしょうか。
上山 44件の登録されていない民泊が載っていて京都市が観光庁に摘発したというものですね。当社は「STAY JAPAN」という民泊仲介サイトを運営しておりますが、これまでも合法の施設のみを掲載しており、今後も許認可を持つ施設のみをしっかりとチェックし掲載していきます。
ただ、一部の民泊仲介サイトでは新法施行後すぐの段階では、表では適正な民泊を推進するといいながら、裏では違法民泊が放置されていたといわれています。

民泊仲介業による適正民泊推進を語る上山社長
―やはり、放置されているんですね。
上山 放置しているとしか見えないものもありました。なぜか、1軒や2軒ではないからです。ただ、京都も東京も違法民泊に関しては観光庁も理解していて、しっかりとした指導を行っています。
また、前述された民泊仲介サイトの適正化を図る協会の立ち上げも準備されており、市場の適正化を推進していきたいです。そのためにも、まずは参入する仲介サイトが市場をクリーニングしないといけない。クリーニングができた段階で住宅仲介事業者適正化協会(仮称)をスタートできれば、この民泊新法を契機に日本の「民泊」ブランドが世界に対して安全・安心な基準をクリアしているものであると発信することができます。
これまでの違法民泊に関する報道などで「民泊」というもの自体のイメージが低下しました。これを今一度、違法民泊とこれからの合法民泊とはまったくの別物であることを明確化し、市場をクリーンにするために協会を立ち上げようとしているんです。
(トラベルニュースat 18年7月25日号)
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