非日常が常態化した年 18年本紙紙面から「観光番付」(1) 相次ぐ天災、復興支援の制度設計を
今年もやります―2018年1年間の「観光番付」。大雨、台風、地震が相次いだ。天災のない平穏な年がここ何年かなく、毎年どこかが大きな被害を被っている。究極の非日常が常態化している感すらある今、国際情勢、政治の世界も乱高下を繰り返す。一寸先すら読めないような時代だからこそ、観光業界の体力はもちろん、知力が求められている。本紙紙面を中心に18年を振り返ってみた。
“大混乱”を糧とせよ
2018年を振り返る上で、これでもかと相次いだ「天災」は外せない。
まずは雨風。平成30年7月豪雨と命名され中国、四国地方を襲った豪雨は、観光地にも大きな爪痕を残した。デスティネーションキャンペーンのスタートが目前だった山陰地方は出鼻をくじかれた。本紙では豪雨後、広島県や岡山県、島根県などの観光関係者が訴える風評被害対策を報じた。
9月は、本紙編集長が「生涯最大の台風」と吠えた台風21号が近畿地方を直撃。関西国際空港が浸水した上、本土と空港を結ぶ連絡橋に漂流した船が激突した。開港以来初めて空港が閉鎖され、到着も出発もできず旅行会社をはじめ観光業界も大混乱に陥った。本紙ではクラブツーリズムの対応、海外航空会社や現地ランドオペレーターの無慈悲かつ冷酷な対応に苦慮する旅行会社の姿を詳述した。
そして「地震」。台風21号をまだ引きずっていた9月6日、北海道胆振東部地震が発生。道内全域が停電し、新千歳空港も閉鎖。国内外で人気の観光地が大ダメージを受けた。出発地の旅行会社では、ツアー客をどう帰すのかで各社迅速な対応をしていたことは記憶に新しい。6月には大阪北部地震もあった。インバウンド市場をけん引する大阪、北海道が大きな地震に見舞われたことで、訪日客の減少が懸念されていたが…。
天災への対応と言えば「ふっこう割」。観光が地域の復旧・復興に貢献することが浸透し、熊本地震を機に予算づけも早くなった。西日本7月豪雨と北海道胆振東部地震では「ふっこう割」が設定されたが、時期が重なったため「ふっこう割」競争もぼっ発。中国地方の旅館経営者が「北海道に持っていかれた。7月より客の入りが悪い」と嘆いていた。
また、ふっこう割が大手旅行会社やOTAに丸投げ状態なのも、いかがなものかと本紙で提起した。着地として送客による被災地復興はもちろん大切。だけど、被災地で発地として商売する旅行会社の存在も忘れてはならないはず。そろそろ、国の制度として納得感のある制度設計が必要なのではないか。観光庁が議論をリードしてほしいところだ。
(トラベルニュースat 18年12月10日号)
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