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四字熟語で2019年の観光を占う(3) 引錨可躍・一眩闘千

新しいニーズと“幻術”への対応

【引錨可躍】は、相手の性格や能力に応じて適切な指導を行う「因病下薬」を、藤田さんの「可」と池田さんの「躍」で造語した。

「可」とは撮影可能なことだと藤田さん。4K8Kの本放送や、カメラレンズが3つのスマホ機種がさらに増加する予定の今年は「すでに流行のインスタ映えニーズが一層進展する」と予想する。「今や勝手にSNSで世界中に宣伝してくれる時代。撮影可能な場所をどんどん増やしていくことが大切」とし藤田さん自身、作品以外は撮影可能だと案内された東京都庭園美術館で館内の撮影を満喫した。「美術館のように通常撮影できない場所だからこそ価値がある」。宿でも「普段撮影できない浴場をチェックアウト時間に、希望者向け撮影時間を設けるべき。特に訪日客には決定的な瞬間になる。お金をかけずに宿泊客に喜んでもらえるよい方法だと思うのだが」とする。

「躍」は池田さん。30年近く20万人前後に低迷していた日本のクルーズマーケットが17年に30万人を突破した。「高級な日本船と、大衆的な外国船が両輪となって力強くマーケットを開拓しており、19年はさらなる飛躍が期待できる」。

2人の指摘から「観光パンフレットの地図にはインスタ映えする場所にカメラマークを明記してアピールを徹底」(藤田さん)し、カメラ女子と若者を誘引するとともに、各地の港にクルーズ船の錨を降ろさせることが地方の元気につながるのだと気づく。

【一眩闘千】は、松坂さんの「眩」と井門さんの「闘」から。2人とも改元景気、ラグビーW杯や五輪前年という高揚感を肯定的にみる反面、その裏の「眩」と「闘」に警鐘を鳴らす。

松坂さんは「消費増税による一気の冷え込み、世界経済の脆弱さ、ロボット、AI化などが進んで、僕たちの業界の『基礎』がゆらぎはじめる一年になる」。

井門さんは「海外では国家間の摩擦が増え闘争の火ダネが拡散しつつあり、かく言う日本も、下期は消費増税で家計の闘いが始まり、業界の人材不足の闘いは慢性化。一方、世間ではeスポーツでのオンライン上の闘いがブームになり、何より『闘球』…秋にはラグビーW杯がお茶の間を占拠。熱い闘いに目が離せない」とし、19年は「前高後低」とも。「前代未聞の10連休は観光市場にとっては恵みの水。しかし、前半戦はよくても秋以後の後半戦は海外の景気下降や消費税アップが重なり、家籠りで一気に冷え込むおそれ」があるとみる。

巷の「一騎当千」のイメージに「浮かれていると足を救われる」(井門さん)、「めくらましの幻術に惑わされない冷静な眼差しが必要」(松坂さん)な2019年と言える。

(トラベルニュースat 2019年1月1日新年号)

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