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訪日客への医療対応 東京観光財団が専門家招きセミナー(2) 保険加入促進や多言語案内を

地方誘客に求められる「情報発信」

こうした患者、医療機関、観光事業者にとって不安が多い外国人旅行者の医療対応を改善しようと、政府は2018年6月に「訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策概要」をまとめた。

対策の目標となっているのは(1)外国人観光客自身の適切な費用負担を前提に、予期せぬ病気やケガの際、不安を感じることなく医療等を受けられ、安全に帰国できる仕組みを構築する(2)可能な限り多くの外国人観光客の加入を目指した旅行保険への加入勧奨(3)観光振興に主体的に取り組む地域ごとの多様な関係者の連携による環境整備を国として支援―など。

なかでも早急に取り組めるのが、旅行保険加入率のアップだ。在外公館や旅行会社、旅行ガイドブックを通じて、また航空機内やクルーズ船内、入国時、入国後の観光案内所など訪日旅行者の接点となる場所で加入促進を図ることにしている。

訪日旅行者が増えれば日本旅行中の不慮の事故死や、突発的に重篤な状態に陥ることもあり、費用は医療にだけかかるとは限らない。日本旅行中に植物状態になってしまった家族を本国へ移送する費用を捻出するため、クラウドファンディングで約2千万円を集めた例もあるという。

民間にできることはほかにも。個々のパンフレットやウェブサイトでの薬局、診療所、病院などの多言語の案内だ。軽症の旅行者が薬局ですませてくれたら、病院は重篤な患者に対応できる。

日本人観光客向けのソウル観光のウェブサイトのなかには「ソウルで具合が悪くなったらどうする」コーナーを設けているものがあるそうだ。日本語対応の薬局や、薬の選び方、韓国での主な治療費や受診の流れ、日本語で受診できる病院が紹介されている。

訪日客の地方誘客を進めるなか、各地域の観光事業者が観光関連情報の一部として、医療についての積極的な情報発信することが期待されている。

(トラベルニュースat 19年3月10日号)

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