自然災害後の回復策準備を JATAが観光庁に提言(1) 風評被害軽減や観光による復興貢献
日本旅行業協会(JATA)は3月13日、訪日旅行の発展に向けた提言書を観光庁に提供した。2014年から毎年、訪日旅行に関する提言を行っており、6回目となる今回の提言では、近年国内で多発する地震や台風などの自然災害発生後の旅行需要の回復策や、訪日旅行が団体旅行から個人旅行にシフトするなか、個人旅行者の旅行形態に合わせた安全・安心の確保に向けた取り組みについて提案している。
「宿泊施設営業状況検索システム」と情報提供
提言は、自然災害時の旅行者の安全確保については「すでに行政などによる取り組みも進められてきている」として具体策には触れず、災害からの復旧段階の風評被害の軽減や防止、当該地域の復興に向けた観光による貢献策に重点を置いている。
自然災害発生時の対策として、宿泊施設の被害状況を自治体、旅行会社、旅行者が一元的に把握できる「宿泊施設営業状況検索システム」の構築をあげ、これ以外は自然災害発生後の対策が中心になっている。
まず、風評被害の軽減策としては(1)国連世界観光機関(UNWTO)など国際的観光機関への迅速な情報提供と世界に向けたメッセージの発信(2)駐日大使館への情報提供(3)在日外国人からSNSで情報発信してもらえるような協力体制の構築―が望まれるとした。
また、2016年の熊本地震や、18年の西日本豪雨や北海道地震後の旅行者回復に寄与した「ふっこう割」は一部海外からの旅行者も利用したが、提言では効果的な補助金交付や予算配分、スキームの統一など、あらかじめ自然災害が発生した場合の復興支援策のプログラム化に期待した。
個人旅行者の安全・安心の向上については、レンタカー利用の拡大への対策でいくつかの具体策を示した。安心して走りやすい環境づくりとして、交通標識やカーナビの多言語化の拡充のほか、若葉マークのような外国人旅行者が運転していることが分かる全国統一のステッカーの導入を提言。また、北海道や沖縄など訪日旅行者のレンタカー利用が多い特定地域に多言語対応できる交番の拡充や、交番の所在地が分かるアプリの開発などを求めた。
(トラベルニュースat 19年4月10日号)
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