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台風19号、旅行シーズン直撃(1) 被災地で復旧進む

東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号。災害救助法適用自治体の数は東日本大震災を超え、浸水など住宅被害は西日本に大きな被害を与えた平成30年7月豪雨を上回る。観光地でも神奈川県箱根温泉や茨城県大子町では一部の旅館ホテルが浸水するなど直接的な被害が出た。また、交通機関も首都圏と長野、北陸方面を結ぶ北陸新幹線や中央自動車道、上信越自動車道が一部区間で不通になったことで、旅行の見合わせや宿泊キャンセルは東日本から北陸まで広範囲に及んでいる。多くの観光地や温泉地に被害はなく通常営業を続けているが、旅行の自粛ムードや風評被害で秋の行楽シーズンへの影響は甚大だ。影響を受けた地域からは16年の熊本地震や18年の西日本豪雨と北海道胆振東部地震後に政府が予算を付け、観光需要を喚起するために行った、「ふっこう割」のような取り組みを求める声が高まっている。

箱根、長野に大きな被害 「元気」発信を

台風19号により、48時間の雨量が観測史上最大の1千ミリに達した箱根町。複数の区間で土砂災害があった箱根登山鉄道は箱根湯本—強羅の運休が続き、復旧にはかなりの時間がかかる見通しだ。現在、代行バスが運転されている。宿泊施設は数十軒が浸水などの被害を受け、一部は営業を見合わせている。温泉の供給が止まっている施設もある。芦ノ湖は大雨による増水で氾らんし、一時は周辺施設が冠水するなどの被害が出た。ただ、その後水位は下がり、芦ノ湖で遊覧船を運航する箱根海賊船と芦ノ湖遊覧船の2社は19日の始発から遊覧船の運航を再開している。

日本三名瀑の「袋田の滝」がある茨城県大子町では、滝川や久慈川が氾らんし、旅館ホテルや土産物屋が被害を受けた。

長野県上田市の鹿教湯(かけゆ)温泉では、建物などに直接の被害はなかったものの、停電や道路の通行止めで、台風当日の宿泊客の対応に追われた。斎藤ホテルの斎藤宗治さんは「停電と周辺道路が不通になるなか、お客様に安全に滞在いただき、無事にお帰りいただくことに集中しました」と、台風当日の様子を振り返り、「今は、鹿教湯温泉は元気ですと、情報発信に力を入れたい」と話した。

同じ上田市の別所温泉旅館組合は、避難している市民に浴場を無料で開放した。温泉街に被害はなかったものの、千曲川の増水で上田駅—別所温泉駅を結ぶ上田電鉄の千曲川橋梁の一部が崩落し直通運転再開のメドは立たない。上田電鉄は現在、下之郷—別所温泉間の電車の折り返し運転と上田—別所温泉に臨時バス、上田駅—下之郷に代替バスを運行している。

(トラベルニュースat 19年10月25日号)

(次の記事)台風19号、旅行シーズン直撃(2) 「ふっこう割」求める声も

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