4千万人達成へ黄信号 19年訪日客は過去最高の3188万2千人(1) 韓国客急減で伸び鈍化
日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)は1月17日、2019年1−12月の訪日外客数が推計で3188万2千人と過去最多を記録したと発表した。ただ、19年8月以降、韓国からの訪日客が激減していることで、伸び率は2・2%増にとどまった。また、観光庁は同日、19年の訪日外国人旅行者の消費額が7年連続で前年を上回り、6・5%増の4兆8113億円と過去最高を更新したと発表した。
中国や東南アジア、欧米豪などは続伸も
訪日客数、訪日客の消費額ともに、韓国の激減で、全体の伸び率は小幅にとどまった。政府は20年までに訪日客数4千万人、訪日客による旅行消費額8兆円とする目標を掲げるが、いずれも達成は難しい。
日本旅行業協会(JATA)の田川博己会長は新年会見(トラベルニュースat20年1月25日号6面参照)で達成は厳しいとの認識を示した。JTBの予測でも3400万人にとどまる見通し。国土交通省の赤羽一嘉大臣は1月10日の会見で「目標達成は大切」としながらも4千万人達成への明確な言及はせず、交流促進や地域活性化など地方創生に向けた観光発展への取り組みの意義を強調するにとどまった。
訪日客数は主要20市場のうち韓国を除き、19市場で過去最多となった。トップは中国で前年比14・5%増の959万4300人と、一国で1千万人の大台に迫っている。地方空港を中心とした日中双方新規航空路線の就航や、増便による航空座席供給量の拡大、19年1月から開始した個人査証の発給要件緩和などが中国からの訪日に寄与した。旅行消費額も14・7%増の1兆7718億円と伸び、訪日外客による旅行消費額総額の36・8%を占めている。
一方、日韓関係の悪化により8月以降、訪日客が激減している韓国は、25・9%減の558万4600人で、前年より約200万人減った。旅行消費額も28・4%減の4209億円と大幅に減り、台湾の5506億円(5・4%減)を下回った。
そのほか訪日客数市場上位国・地域では台湾489万600人(2・8%増)、香港229万700人(3・8%増)、米国172万3900人(12・9%増)、タイ131万9千人(16・5%増)まで6カ国が100万人を超えている。
このうち香港は6月から国内で続いている大規模デモの影響が懸念されたが、下期に入り10月以降は、前年比20%程度の高い伸びを維持し、年間ではプラスを堅持した。
東南アジア・インドはタイ、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インドが前年比で10%以上の伸び。フィリピンとベトナムは20%を上回る大幅な増加となった。
オーストラリアは62万1800人(12・6%増)と初めて60万人を突破。英国も27・0%増と高い伸びで、42万4200人と初めて40万人を超えた。特に英国はラグビーワールドカップの開催期間中は9月が84・3%増、10 月が85・6%増と訪日が大幅に拡大した。
これまで訪日市場として目立たなかった隣国ロシアも、年間で26・6%増の12万人が来日し、こちらも初めて10万人を突破した。
なお、12月の訪日外国人客数(推計値)は前年同月比4・0%減の252万6千人だった。18年12月を10万5千人下回り、3カ月連続の前年割れとなった。
(トラベルニュースat 20年1月25日号)
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