実態経済の窮状を訴え ANTA、日旅協が政府に要望
新型コロナウイルス感染症による影響が甚大化する中、内閣府は3月23日、首相官邸に運輸、宿泊・観光業界の代表者を招き、第4回「新型コロナウイルス感染症の実態経済への影響に関する集中ヒアリング」を開いた。日本旅館協会、全国旅行業協会、日本旅行業協会、日本旅客船協会、日本バス協会、定期航空協会、JR北海道、伊勢屋商店から代表者8氏が出席し、各業界の現状と要望を伝えた。
状況はさらに“別次元” 支援、経済政策求める
全国旅行業協会(ANTA)からは近藤幸二副会長が出席し、2月20日までに実施した旅行キャンセル数や資金繰りの状況について説明。3月の旅行実施および予約状況が前年比で8割以上減少した会員が78%、3―8割減少が19%、0―3割減少が3%などとアンケート結果を示しながら窮状を訴えた。
ただ、ヒアリングに提出したアンケート結果について、ANTAの若井茂事務局長は「調査は2月末の状況で、その後、大規模イベント自粛や外出自粛の要請があり、ヒアリング後すぐに状況は一層悪化しています」と話し、状況は“別次元”に入っているとしている。
日本旅館協会の北原茂樹会長が出席し(1)雇用調整助成金の特例措置の拡大(2)無利子融資枠の拡大(3)既存の借入金の返済猶予(4)固定資産税の減免(5)換価の猶予が了承された場合の延滞利息の免除(6)NHK受信料の6カ月分の減免(7)コロナ終息が見通せた時点での大規模な経済政策―を要望した。
他の団体代表からの要望も多かった雇用調整助成金については、中小企業に対する助成率をリーマンショック後に適用された10分の9に引き上げた上で、支給限度日数を100日から300日に伸ばすよう求めた。
こうした要望を踏まえ厚労省は4月1日から、雇用調整助成金の支給に関する特例措置を拡充し、一人も解雇しない中小企業への助成率を10分の9まで引き上げている。
融資については日本政策金融公庫が中小企業を対象に現行、借入上限額3億円のうち1億円について、3年間にわたり無利子としているのを、全額を無利子の対象にするよう求めた。また、借入上限額を5億円に拡大するよう要望した。
借入金は政府系、民間金融機関とも1年間の返済猶予、固定資産税とNHK受信料については6カ月分の免除を、それぞれ求めた。
収束が見通せた時点での経済対策では、国内旅行対策としてふっこう割の設定や、インバウンド対策として空港使用料の減免、ジャパン・レール・パスの割引、各種観光振興キャンペーンへの助成を要望した。
ヒアリングには安倍晋三首相、麻生太郎財務大臣、菅義偉官房長官ら関係閣僚が出席した。
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