四字熟語で2021年の観光を再起(2) 内優外寛・種暁無常
内に優しく外で寛ぐ
【内優外寛】 昨年は内にも外にも憂慮すべき問題が多い内憂外患だったが、今年は内に優しく外で寛ぐ1年にしたい。
井村さんはコロナで内向きだった昨年から、今年は「外」で勝負しようと呼びかける。緊急事態宣言の時は外食すらはばかれ、内にこもり、下手をすれば内から攻撃対象になってしまった。
その閉塞感を打破するためには「郊外、県外、外国…とにかく『外』に出られるか、『外』から来るか、『外向き』になれるかがポイントになると思います」と井村さん。
藤田さんは「こんな時代だからこそ本当の本物が一層求められるに違いない」という。それは自身が昨年Go Toトラベルも活用して35泊以上もした結果得た確信だ。
「良いと感じる宿に共通していたのは『寛ぎ』です。しかも、良い宿は自分の長所を実に良く理解している」と言い切る。部屋での寛ぎが素晴らしい宿は、到着後すぐに部屋へ案内し、部屋の冷蔵庫の飲料は無料もしくは安価で居心地を一層良くしている。ラウンジの寛ぎは自慢の宿は、ラウンジの飲み物が無料だったりする。「自分の強みを熟知して一層強化しているのですから、まさに鬼に金棒」。藤田さんにとって昨年は愛用したい宿を発見できた年だった。
新しい種に適応し暁に輝く
【種暁無常】 「種」を選んだ松坂さんはこう指摘する。「新型コロナウイルスは憎き菌であることは間違いないが、そろそろ、そういう見方は変えたい。僕は、このウイルスは我々の世の中に新しい姿をもたらす新しい『種』(しゅ)と積極的に評価しようではないか、という気持ちを込めています」。
夜明け前のいわゆる未明の空がまだ暗い、あと少しで夜明けがやってくるころの「暁」(あかつき/ぎょう/とき)とした井門さん。歌手の福山雅治さんの楽曲「暁」に、心にある太陽が燃え尽きそうでも日はまた昇る、あなたを必要とする人がいる、という趣旨の歌詞があるそうだ。井門さんは「まさに今年を表している」と。
新型コロナウイルスという種によって、私たちは「新しいリモートワークのあり方、ナイトエコノミーからデイライトエコノミーへ転換(商売は昼間のうちに稼ぎ切ろう!)、リゾートが担う新しい役割など、新しい風土をもたらすものと考えていいのではないか?」とも松坂さん。
古くから私たちは、万物はいつも流転し変化し消滅が絶えない「諸行無常」を受け入れ暮らしを紡いできた。松坂さんの言う「『対応』するのではなく、新しい種がもたらす世界に『適応』することを考え」、そして井門さんからの「暁星(あけぼし)とも呼ぶ金星のように、夜明けを迎えた時、たとえ周囲の星が消えていたとしてもしっかりと光り続ける星になっていたい」−。
(トラベルニュースat 21年1月1日号)
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