観光業界の未来を紡ぐ 鈴木治彦vs星永重・全旅連青年部部長対談(5) 社会情勢による再編を先取り
全員が目立ち、キャラが立つように
―全旅連青年部は組織として政策が大きなウェイトを占めていますね。
星 今期に限ってということではなく、全部の事業が政策につながっていると政策担当副部長上は思っていました。ほかの副部長は自分の担当所管がつながっていると思いますし、そうあるべきです。
部長としてやっていく時は、外部に対して何を伝えていくかというのも大切なので、政策の重要性は訴えたいと思いますし、事業の重要性も訴えたい。そのバランスをとれ、と治さんがよく言っていて、その通りだと思います。突出してここだけということではなく、全副部長がほかの委員会のこともうちにつながっている、という意識です。それをアウトプットするのが委員会であって、それが全部バランスよくベクトルが長く太く出せるのであれば、全旅連青年部がもっと認知されるでしょうし、宿の地位が向上する。それが未熟でしたが、別府のあいさつの言い方になりました。
鈴木 青年部の先を考えたら西村さん、自分、星と3期連続で政策副部長が部長になっています。個人的には、あまりいいことではないと思っています。特に若い、初出向の人たちが、政策副部長が次の青年部長だという目で見始めていると思うんで、そうなると政治に興味がない若い出向者たちは青年部活動が楽しくなくなってくると思います。
もし自分が声を掛ける機会があるとしたなら、次の副部長全員に目立つ活動、目立つキャラになれとエールをおくりたいですね。それが青年部活動、委員会活動が面白いと思えることにつながってくると思います。
星 そうなれば面白いですよね。あと2年あるのは結構大きい。2年スパンで考えられます。JC(日本青年会議所)など、ほかの団体は1年。2年1期の良し悪しは別にして、青年部の成長につながるという部分では2年1期という体験は面白いと感じています。
鈴木 出向者、部長以外はこれからも2年1期で考えると思います。ただ、部長は前半2年、後半2年で考えて、出向者や事業が全部変わったとしても、4年スパンで考えることが必要になってくるのではと思っています。いずれ、どこかのタイミングで部長になる人間は考えてもいいかな。青年部員も減っているので。
―そんなに減っているのですか。
鈴木 出向者はそんなに変わっていません。だいたい160人から190人台。なので、出向者の比率が高まっています。全青年部員は、自分が入った時は2400人ぐらいでしたが、今は1200人。14年間で半分です。昔は4―6%で出向者が推移していましたが、今は10%以上になっています。
―中国四国のようにブロック統合も、さらに起こってくるのでしょうか。
鈴木 他のブロックも考えているみたいです。あまり従来のブロックに縛られず、それこそインターネット普及もあってエリアの縛りが昔ほど重要性でなくなったというのはあると思います。地域性や地域柄はこれからも残ると思いますが、例えば新幹線が新しくできると、石川県や富山県は首都圏や北関東ブロックとひっつきたいし、福井県は近畿と一緒になりたいと思う。やはり、社会の状況によって再編は必要です。
星 我々も東北ブロックは一つですが、それぞれ商圏は違うから動きが変わってきますよね。
鈴木 だから、過去の考え方でブロックの編成を維持するのは無理があるかなぁ。
星 青年部が先陣を切って、いろいろと試してやっていける。行政区画が変わってくるのもいいですよね。例えば、東北観光推進機構があるから東北で考えるのですが、福島・山形・栃木・新潟みたいなエリアでやっていくという話が出てくるように、僕らが民間でやっていく。このエリアはこうだというデータの出し方ができると、いいじゃないと思ってもらえるような動きが行政にでてくるかもしれません。
鈴木 運輸局が担っていたような仕事をDMOや民間のコネクションの中で、それ以上の価値を提供していけば変わっていくはずです。
星 楽しみです。動くことで変わっていくことが、これから2年で多くあると思います。いつの時代でもそうなのでしょうが、僕ら次第だと思うと楽しみです。
―次期部長に一番期待していることはなんですか。
鈴木 何かをやってほしいとかは一切なく、好きなことをやってもらえれば。過去23人の部長もそうだと思うんですが、先につながること、今芽が出なくても10年後は必ず芽が出るんだと信じてやれるのであれば、ずっとやってほしい。
星 今期も同じで、何かをやってほしいと言われたことは基本的にありません。ただ、仕事をやりやすいようにしてくれる。それはたぶん、上の者の務めかなと肌で感じさせてもらいました。僕も副部長や委員長、副委員長、委員にそう思わせたい。好きなことやってエエよ、と。
(トラベルニュースat 21年2月10日号)
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