23年を観光復活元年に 観光立国推進協議会(1) 旅行支援継続と水際撤廃を
観光関連産業を中心に産業横断的に100の企業・団体が加盟する観光立国推進協議会(山西健一郎委員長=日本観光振興協会会長)は1月17日、東京・芝公園の東京プリンスホテルで全体会議を開き、コロナ禍からの観光復活に向けた方向性や施策について意見を交わした。出席者からは全国旅行支援の継続、水際対策の撤廃やコロナ感染症の2類相当から5類への引き下げを求める声が多く上がった。各団体から74人が出席した。
観光再生元年に 旅行・宿泊団体トップが訴え
日本旅行業協会の髙橋広行会長(JTB会長)=昨年10月の水際対策の大幅緩和と全国旅行支援の開始で国内旅行に活気も戻りつつあるなか2つの課題を共有したい。
現在、2019年比で8割まで回復している国内旅行は旅行支援の施策効果であり、実質的な回復軌道に入っていません。コロナ禍の3年を経て本格回復には時間と労力がかかり、需要喚起策の継続が不可欠です。旅行支援がなくなれば回復の流れが途絶えます。4月以降も細くていいので、できる限り長く継続・実施をお願いしたい。
水際制限は入国の際のワクチンの3回接種か72時間前の陰性証明が残っていて、インバウンド拡大や日本からの海外出張、海外修学旅行の足かせになっています。特に修学旅行では3回接種していない生徒も多く現場は対応に苦慮しています。水際規制はグローバルスタンダードに合わせ原則廃止して、必要があれば臨時的に制限する形にしていただきたい。
今年は観光業が新しいステージに飛躍する正念場です。こうした施策のもと、観光再生元年にしていきたい。
日本旅館協会の大西雅之会長(北海道・鶴雅グループ)=コロナ禍で宿泊業界に蓄積した3年間のダメージを理解してほしい。足元で旅行需要は活発化していますが、緊急会員アンケートでは今期、赤字の施設が63%です。これでは既存債務やゼロゼロ融資の返済ができえません。この3年間で赤字施設では平均で長期借り入れが1・4倍に増え、会員の半数の1100軒では返済に今後80年かかる状況です。こうした状況を理解していただき、現在、予算がなくなり次第終了とされている全国旅行支援をインバウンドが戻るまで続けてほしい。コロナは経営努力の及ばない災害との認識で施策を継続していただきたい。
(トラベルニュースat 2023年1月25日号)
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