ユネスコ無形文化遺産に 日本温泉協会、「温泉文化」で登録目指す(1) 国民運動へ署名活動を検討
日本温泉協会(笹本森雄会長)の2023年度会員総会が6月25日、岡山県・湯原温泉の湯原ふれあいセンターで開かれ、ユネスコ無形文化遺産に「日本の温泉文化」を登録することを重点目標に掲げた。早期登録の実現に向け、新たに温泉文化ユネスコ無形文化遺産登録推進委員会を新設。全旅連前会長の多田計介副会長を推進委員長に任命した。
温泉法や文化財保護法に明文化を
ユネスコ無形文化遺産は、2003年に無形文化遺産保護条約やユネスコ総会で採択され、06年に発効した。現在、世界180カ国が締約し、日本では能楽や歌舞伎をはじめ和食、和紙など22の文化遺産が登録されている。毎年3月に締約国からユネスコに約60件が申請され、翌年11月ごろに政府間委員会において決定される。
総会であいさつした笹本会長は「ユネスコ登録までの道のりは長いと思いますが、早期の登録を目指して頑張りましょう」と呼びかけた。
総会後は、同協会学術部委員会顧問で高崎商科大学特任教授の熊倉浩史靖さんの講演とシンポジウムを実施。温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録について意見が交わされ温泉文化を国民運動とすることが提案された。
熊倉さんは講演の中で、温泉文化の核心である入浴作法が壊れつつあることや、温泉文化の担い手は激減しつつあると指摘。温泉の枯渇・湯温低下が始まっていること、温泉地の人口減少・少子高齢化が突出していることにも危機感を示した。
その対策として「温泉法や文化財保護法に『温泉文化』を明文化してもらう」など法整備の必要性を訴えた。また、修学旅行での温泉大浴場集団入浴や社会教育活動で大人の温泉旅行を定着させ温泉入浴作法を正すことなども提案。「国民運動、世界的運動への第1歩として『1億人署名』活動を進めよう」と呼びかけた。
(トラベルニュースat 2023年7月25日号)
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