貸切バス運賃が値上げ 人手不足対応や安全強化図る
ドライバーの不足や燃油価格の高騰など、貸切バス事業の経営環境が悪化していることを背景に、貸切バスの公示運賃が10月から順次引き上げられる。2024年4月から始まるドライバーの労働規制の強化(2024年問題)も目前に控え、国土交通省が見直した。従来の上限額と下限額の幅運賃から、下限額のみを公示。適正な運賃・料金によって、安全への取り組み強化につなげる。
適正な運賃・料金で安全への取り組み強化
公示運賃の見直しは、道路運送法第9条の2第2項に基づく一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更に伴うもの。従来の貸切バスの運賃・料金は、貸切バス事業者が適切に安全への投資を行えることを目的に2014年に導入された。需要の季節変動に対応することを想定し、基準額のプラス30%(上限額)とマイナス10%(下限額)の幅で運賃を公示していたが、新制度では基準額を「下限額」とし、金額を引き上げたうえで下限額のみを公示する方法に見直した。
国交省では下限額のみとすることで貸切バス事業者の創意工夫により高付加価値なサービスを提供することも可能となるようにしたとしている。
各地方ブロックでの新運賃公示額および現在の運賃額は上表の通り。表中の「大型」は車両の長さ9メートル以上または旅客席数50人以上、「中型」車は大型車、小型車以外のもの、「小型」車は車両の長さ7メートル以下かつ旅客席数29人以下と区分している。また、走行距離の端数について10キロ未満を10キロに切り上げ、走行時間の端数について30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げる。
今後、貸切バス事業者は9月25日までに運賃・料金の変更届出を各運輸局に提出、貸切バス事業者においては10月1日までに順次新たな運賃・料金が適用されるという。ただし経過措置として、従来の運賃・料金を前提に利用者と合意しているものについては、従前の運賃・料金にて運送できることとしている。
22時以降翌朝5時までの間に点呼点検時間、走行時間が含まれた場合は「深夜早朝運行料金」とし2割の割増を適用。標準的な装備を超える特殊な設備を有する車両や、車両購入価格を座席定員で除した単価が標準的な車両購入価格を標準的な座席定員で除した単価より70%以上高額である車両については「特殊車両割増料金」を適用する。「交替運転者配置料金」も届け出た料金の下限額以上で計算した額を適用、交替運転者が交替地点まで車両に同乗しない場合でも同乗したものとして料金を適用する。
(トラベルニュースat 2023年9月10日号)
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