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コロナから「アレ」へ 紙面から選ぶ2023年観光番付(1) 日本人、訪日客で賑わう観光地

長かったコロナ禍がようやく明けた2023年。日本人のみならず多くの外国人観光客がメジャーな観光地を訪問した反面、地域間格差や人手不足に伴う受入態勢の変化で諸手を上げて喜ぶ状況までには至っていない。円安でインバウンドがV字回復した反面、アウトバウンドは依然戻りが遅い。観光業界の「アレ」は未達かもしれないが、この1年を23年紙面から編集部独断で恒例の?番付にしてみました。

円安で明暗、インバウンドとアウトバウンド

紙面から選ぶ2023年観光番付

 今年は流行語大賞にも選ばれたけど、やっぱり「アレのアレ」でしょ? 関西シリーズは手に汗握る熱戦が続いたし、7月に急逝した横田選手のユニフォームを掲げた胴上げは涙もんだった。経済効果も900億円を超えて、名目GDPを0・01%引き上げたとか。

 38年ぶりだから分からなくもないけど、横綱ではない。やっぱりコロナが5類に移行したことだろうね。

 間違いなく東の正横綱。世の中のムードが明るくなった。観光や旅行といった余暇活動はエビデンスよりムードが大事なんだと改めて思った。5類移行後、家族や友人が感染しても、どうやら軽症で済むことが分かって、ようやくコロナを乗り越えた感を持てた。

 自粛ムードを脱し大手を振って旅行に行けるっていいよね。国民の精神に安寧をもたらす観光産業従事者は、別の意味でエッセンシャルワーカーだよ。

 海外では日本より半年早くコロナを乗り越えた感が浸透し、2022年10月に日本の水際対策が大幅緩和されるのを待っていましたとばかりにインバウンドが急速に回復した。

 西の横綱だね。ただ、コロナ前を上回る勢いで受入側の体制が整っていない。訪日客が集中するエリアでは観光するのも困難、さらに生活や通常の買い物などにも影響を及ぼし、京都市内を歩いていたら実際に嫌な気分になったりもしたし。

 中国の訪日客回復が道半ばでも、9月の訪日外国人旅行者はコロナ禍前の2019年同月を上回るまでに拡大したぐらいだから。

 これで、中国から以前のように大挙して訪日したらオーバーツーリズムは必至だ。

 外国人観光客も久しぶりの海外旅行という事情もあって、滞在日数も長く消費意欲も顕著。その旺盛な訪日需要を後押ししているのは何と言っても1ドル150円程度の円安だ。19年8月のレートが100―110円程度だったから、それだけでも3割程度安く滞在できることになる。欧米と比較してもともと安かった宿泊費や食費は、彼らにとってさらに安く感じているだろうね。

 番付に載っていないけど、政府が3月に改定した「観光立国推進基本計画」で示されている地方誘客促進はまったなしだし、消費額拡大については新計画で目標としていた1人当たり20万円をもう超えちゃった。

 反面、円安は海外旅行の苦戦を強いている。JATAも機運盛り上げに躍起だけど、なかなか市場は付いてこない。円安を突き破るような海外旅行の魅力を伝える商品など旅行会社にはがんばってもらいたい。

(トラベルニュースat 2023年12月10日号)

(次の記事)コロナから「アレ」へ 紙面から選ぶ2023年観光番付(2) 不正問題、人手不足が露呈

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