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四字熟語で2024年の観光を占う(3) 善因善歓・支向錯誤

「支」えあい新時代へ「向」かう

【善因善歓】 もとは「よい行いをしていれば、いずれよい結果に報いられる」という意味の善因善果から。時が経てば必ず結果が出るもの。功を焦るとロクなことにならないという先人の教えだろう。

「歓」を選んだ井村さんは「人手不足やAI、DXなど、いろんな問題や課題があろうがコロナ禍からようやく明けて、手をあげて歓びの声が業界から聞こえてきそうです」。23年が観光再始動の年だとすれば24年は本稼働する年になるのかもしれない。「歓喜の声、歓待の喜び、歓迎のもてなし…などなど『歓び』は次の時代の間にある一瞬であろうとも『オアシス』ではないでしょうか」。まずは自分たちが「歓」び、その思いを伝え届けることが要因となり、お客様の笑顔となって報われるかもしれない。そして井村さんは最後「2024年に歓びあれ」とエールをおくる。

【支向錯誤】は、吉兼さんの「支」と山田さんの観字「向」から。本来の試行錯誤はご存知の通り、失敗しても別の方法で何度も繰り返し、適切な方法や結果を得ることを意味する。吉兼さんも山田さんも観光の未来を照射して、私たちの24年の振る舞いを提示した。

吉兼さんは観光期待の変化として物見遊山の「みる」、アクティビティや体験を「する」から訪問先のことを深く「しる」ことや、その地にどっぷりと「ひたる」スタイルに成熟してきたとする。そこに今は「ささえる」が入ってくる機運が高まっているという。

「少子高齢化、人口減少のなか、住民・地元民はもちろん観光客も訪問地(憧れの観光地)を『支える』姿勢を示す時代になっていきたい」と吉兼さんは期待を込める。その萌芽はすでに「ボランティアツーリズムや聖地巡礼に見られる」という。彼らの姿こそが「観光地を支えようという姿勢」なのだ。「世界が不穏な中、地元から『幸せ基地』づくりを推し進めていこう」と呼びかける。

観字を選んでいただいた各氏もそうだが、山田さんも「コロナ禍が明け、急速に変化する社会に立ち『向』かう覚悟」が必要だと説く。そのためには「売上、利益を増やすことで付加価値も向上。そして生産性も向上する。一番は、所得向上させること」が必須だ。

錯誤を繰り返しながらでも、適切な結果を得なければならない。だからこそ、山田さんは「すべて前『向』きにポジティブに行こう! そのためにも明確な方『向』性を示す」―。今年24年は、感染時代が明けた“染後”のスタイルを打ち立てたい。

(トラベルニュースat 2024年1月1日号)

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