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「宿文化」を継承発展させる 全旅連・井上善博会長が決意新た

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)は6月19日、第102回全旅連全国大会in北海道を札幌市中央区の札幌パークホテルで開く。本紙では本号を全旅連全国大会記念号として全旅連の井上善博会長(福岡県・ほどあいの宿六峰舘)、全旅連青年部の塚島英太部長(長崎県・長崎スカイホテル)、全旅連・女性経営者の会(JKK)の高橋美江会長(栃木県・益子舘 里山リゾートホテル)の3人に、現在の取り組みや今後の抱負についてお話を聞いた。まずは、就任から1年を経た井上会長にご登場いただいた。

青年部、JKKと連携深め邁進

昨年6月に第11代全旅連会長に就任してからのこの1年間は、全旅連会長という職責の重さを改めて痛感した、というのが正直な感想です。

というのも、全旅連という組織は、単なる宿泊観光事業者の組合ではありません。全旅連は「宿文化」という、我々の先人たちが1千年を超える長い歴史の中で築き上げてきた唯一無二の文化の維持・継承を担うとともに、我が国が国策として観光立国を目指す中、宿泊観光産業を国の基幹産業にするとともに、宿を核とした地方創生を実現させる、という社会的な責任を果たさなければいけません。

しかし、裏を返せば、宿泊観光産業は、今後10年、20年先を見据えた上でも、大きなポテンシャルを持った産業だということにほかなりません。

私はこの1年、コロナ禍を経て経営面だけでなく精神的にも大きくダメージを受けた事業者の方々の自信を取り戻すだけでなく、自らの仕事に矜持をもたらすために、こうした大きなビジョンを語ることに力を入れてきました。

足元を見ると、生産性・収益性の向上、人手不足問題への対応、頻発する自然災害への対応など、宿泊観光産業が抱える課題は一筋縄ではいかないものばかりです。今、こうした課題に真摯に向き合い仲間同士で喧々諤々の議論を行い、一つ一つ課題解決の成果を出そうとしているのが青年部です。私自身もかつて青年部長を務めさせていただきましたが、近年の青年部の政策立案能力、そして実行力の向上には目を見張るものがあります。今後もより一層の活躍を期待しています。

全旅連・井上善博会長

宿泊観光産業を国の基幹産業にするとともに、
宿を核とした地方創生を実現させることは
我々の社会的な責任だと決意を述べる井上会長

また、これまで、個々の宿においては、女性目線でのサービスがなされていない、施設設計がなされていない、などのご指摘を受けることも多々ありました。こうした課題を解決するに留まらず、21世紀の「宿文化」を創りあげていく上で積極的な貢献をしてくれているのがJKKです。女性経営者の参画抜きに、業界の未来はありません。JKKの担う役割は今後より一層大きくなることは間違いありません。

宿泊観光産業が持続可能で稼げる産業へと変革し、そして、業界全体の地位向上を図ることは、絶対に成し遂げなければいけませんが、それは決して楽な道のりではなく、道半ばでは様々な困難を伴うでしょう。しかし、私はこの業界にはどんな困難をも乗り越える底力がある、そして、明るい未来が待っていると信じて疑いません。未来は、人から与えられるものではありません、自分たちで掴み取るものです。

先人から受け継いだこの大切な「宿文化」を維持発展させ、後世に引き継いでいく、という強い決意のもと、私も先頭に立って、引き続き諸課題に全力で取り組んでまいります。

(トラベルニュースat 2024年6月10日号)

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