和倉温泉の復興プラン 推進協が創造的まちづくり(1) 里山里海“めぐるちから”―持続的な都市デザイン構想
石川県・和倉温泉の旅館経営者らで組織する協議会が復興プランを発表したほか、温泉街では地震発生時の宿泊客を誘導した状況などを案内するガイドツアーも始まった。能登半島地震の発生から1年と3カ月。休館中だった旅館の営業再開も徐々に明らかになり、復興に向けた取り組みが本格化する。
東京で発表
復興プランを発表したのは、和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会(多田健太郎代表=多田屋社長)。3月18日に「和倉温泉創造的復興プラン公式発表&復興キックオフセッション―和倉温泉復興推進シンポジウム―」を東京・八重洲で開き発表した。震災からの復興を“創造的”に推進するための復興ビジョンのコンセプトとして「能登の里山里海〝めぐるちから〟に。和倉温泉」や、復興プランの構成として6つの基本方針を発表するなど、和倉温泉の新しい復興モデルの姿を明らかにした。
シンポジウムには、和倉温泉の旅館代表者や企業・行政関係者ら約100人が出席。和倉温泉創造的復興プラン公式発表したほか、今後のプランの具体的実装や共創パートナーの募集を目的に開催した。
冒頭、七尾市の楠利勝企画振興部長が「能登半島地震からの和倉温泉の復旧復興において様々な支援をいただいている。和倉温泉の復興なくして元の復興はない」とあいさつ。今後についても「和倉温泉が能登半島の復興をけん引していくためには、復興プランとして掲げられている諸施策を短期間でなし遂げていかなければならない」と決意を語った。

約100人が参加して開かれたシンポジウム
また多田代表は「和倉温泉創造的復興プラン」を発表。地元関係者などからなる能登共創部会と都市デザイン部会からなるまちづくり委員会が復興プランを練り、住民の意見を聞く場「和倉トーク」を通じて策定した。
プランには①歩きたくなる動線や空間を作る「景観」②多様で洗練された湯治を提案する「生業」③循環経済の温泉地モデルを実現する「共有」④能登の里山里海の交流拠点となる「連携」⑤温泉文化を未来につなぐ「生活」⑥安全安心の防災を強化する「安全」―の6つの基本方針を盛り込んでいる。
今後は、各地区の個性を生かしたゾーニングプランの検討や8つの主要拠点に分けた魅力の引き出しといった都市デザインの構想など復興に向けた取り組みを進める。
多田代表は、復興プランについて「1千年に一度と言われる災害を1千年に一度のチャンスとなる」と話し、プランが未来のおもてなしシーン創出のための地域の資源と課題の整理や、まちと人の変化を探りながら和倉ならではの「おもてなし」を再定義につながるものだと強調した。
このほか▽旅館▽スポーツ▽サステナブル▽デジタル▽まちづくり▽防災▽総合―の7つをテーマにしたセッションが行われ、旅館のこれからやサステナブルな温泉街のあり方など、官民のキーパーソンが復興プランへの具体的な実行策や共創の可能性を議論した。
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