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宿泊業界の成長戦略 佐藤義正さん(国際観光旅館連盟会長)(2)

―佐藤会長の旅館では外国人宿泊客はどのくらいですか。

少ないです。おそらく3―4%くらいだと思います。国観連の平均も下回っている状況です。同じエリアでも積極的に取り組んでいる施設も、成果をあげている施設もありますので、地域的なことではなく、旅館個々のプライオリティの違いだと思っています。ただ、国として、また、観光業界全体の将来像としては、外国人旅行者の誘致に積極的に取り組まなければならないことは言うまでもありません。

ユニレズ登録に将来性 メリット享受できる組織へ

―国観連では昨年から海外への客室販売に取り組んでいます。宿泊予約に関するサービスを世界展開するペガサスソリューションズ(本社・米国ダラス)の予約システム「ユニレズ」と契約し、国観連会員の客室を、海外の1千社ともいわれるオンライン・トラベル・エージェント(OTA)に販売するものです。今年度の総会では91会員旅館が登録し、実際の宿泊予約も発生しているという報告がありました。現状はいかがでしょう。

直近では登録会員は150軒程度まで増えています。実績も上がってきていますし、私は全会員に参加してもらいたいと思っています。まずは全国9支部で各30会員の参加をあらゆる機会に呼びかけるつもりです。総会でも話しましたが、2000年に1千億円弱だった旅行サイト市場が09年の予測数値は3.3兆円と、10年ほどで33倍にまで拡大しています。この変化のスピードは誰も予測できなかったことです。全会員に登録を義務化してでも取り組みたい将来性のある事業だと確信します。

―国内向けの販路拡大策として取り組んでいる国観連による会員旅館客室在庫管理は実現しそうですか。

実は、国観連客室在庫管理システムについても、9月に開催予定の正副会長会議では今まで以上に具体的な話ができると思っています。自分たちの商品を自分たちでコントロールして買ってもらうという仕組みです。私は海外向け客室販売のユニレズ、国内向け客室在庫管理の立ち上げ、このことによって国観連会員がメリットの享受を実感できる組織に変えて会員がどんどん増えていくような国観連にしたいのです。カード会社に対してもしかりです。もっと発言力をつけて手数料率を下げる方向にもっていくべきです。我々サプライヤーも流通も一緒になって観光を盛り上げる必要があります。販売ルートを増やし、自身も魅力的な宿泊プランをもっと創り、宿泊需要を増やしていきたい。

旅行喚起につながる高速道1千円を評価

―高速道路の土日祝日1千円化や、無料の路線を設定する取り組みの観光への効果はどうでしょう。

もともと交通量の少ない一部路線だけ無料にするというのは中途半端じゃないでしょうか。やるなら、全線無料もしくは一律2千円などの上限制にしていただきたい。それができないなら現在の土日祝日1千円は継続してほしい。

―旅行者がこれまで以上に週末に集中してしまうことから、土日1千円をやめてほしいという旅館経営者もいます。

おそらく大消費地に近いエリアの施設じゃないでしょうか。もっと遠くに行こうとする旅行者が素通りしてしまうこともありますから。例えば、盛岡市内でも九州ナンバーの車を見かけることが増えました。行きだけ、帰りだけ制度を使い片道は通常料金で利用する人もいるでしょうし、このような旅行者は、おそらく3泊、4泊の旅行をしていると思うんです。1千円化は従来出かけてくれなかったエリアからのお客様を確実に生み出しましたし、旅行需要の喚起につながっていると思います。

宿泊業界の成長戦略 佐藤義正さん(国際観光旅館連盟会長)(3)に続く

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