宿泊業界の成長戦略 佐藤義正さん(国際観光旅館連盟会長)(4)
―高速道路の料金政策も休日分散化もウェルカムとはいえない。では国にはどんなことに取り組んでほしいですか。
旅行費用控除の検討を
とりあえずは税制で国内旅行の振興を図ってもらいたいと思います。旅行費用の控除です。インバウンドの促進については宿泊施設の外国語館内表示の整備などのために、固定資産税の減免をお願いしています。
国内旅行の活性化については関連する業界がみんなで考えていかなければいけません。我々は宿泊業界、旅行業界、鉄道や航空会社、フェリーといった輸送機関、高速道路会社、お土産屋さんなど観光に関連する業界の人たちが1つのテーブルにつき、意見を交わし、智恵を絞る場所が必要だと思っています。観光庁にも聞き役として席についてもらい、皆がよくなり結果として国内旅行の活性化につなげるために、お互いに相手の立場を理解する場がぜひ欲しいですね。
単価が下がり、人数も減っている中でお互いに一定の利益を確保して再生産の仕組みを構築していかなければなりません。パラダイムシフトだとさえ言われるほど、時代は大きく変わったのですから、観光業界全体のビジネスモデルの再構築が喫緊の課題ですね。
―来年合併する日本観光協会と日本ツーリズム産業団体連合会が、そうした話し合いの場として期待されているのでは。
今、名前を上げられた団体が皆を糾合して旗振り役になることが求められているのかもしれません。国内旅行産業がこれだけ苦しんでいるんですから、業界間でもっと忌憚のない、踏み込んだ話をする機会を持ちたいですね。
日本経済の先行きを考えると拡大再生産とか均衡再生産は論外としても、せめて縮小再生産で生き残る道を模索したいですね。旅館だけでなく、温泉地そのものが日本の地図からなくなってしまうことだってあります。これが日本の観光にとってプラスのわけがありません。