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宿泊業界の成長戦略 佐藤義正さん(国際観光旅館連盟会長)(3)

―休暇分散化の評判がよくありません。国観連のアンケートでも半数近くが実施に反対のようです。どう、だめなんでしょう。

国内観光を振興させようという観光庁の意気込みはありがたいですが、やり方が、やや拙速な印象を受けます。もう少し検証してからでも遅くないのではないでしょうか。

観光庁と経産省が実施した分散化についてのアンケートでも回答者の68%が「メリットはない」としているわけです。消費者が反対している施策を進めることが本当に国内観光の振興につながるのかを心配しています。経済界にも慎重論が多いですし、国観連のアンケートもそうです。であるならば、我々とももう少し話をしていただいて、丁寧に取り組む必要があるんじゃないかと思っています。

海外流出を懸念 休暇分散化

―分散化のどこが問題なのでしょう。

消費者からは、休みがずれると違う地域に住んでいる家族や親せきと過ごす時間が持てなくなるといった意見が多いですね。

宿泊業界としては別の問題点もあります。祭日を月曜に移動させて3連休をつくるというハッピーマンデー制度ができた時は大きな旅行需要が発生しました。我々はこの施策に非常に恩恵を受けました。土日が連続して満館になったからです。それまでは月曜日が休みでない限り日曜日が満館になることは、ちょっと考えられなかった。これが年4回あるのです。非常に大きいです。ハッピーマンデーがなくなることによるマイナスは非常に大きいと思います。ハッピーマンデーの分を10月の土日にくっつけて5日間の連休をつくった場合に、海外旅行に向かわれるという心配が我々にはあります。国内宿泊旅行は2泊3日が主流です。3連休がちょうどいいのです。これ以上連休が長くなると、皆さん海外旅行に行ってしまいます。

また休日を分散させることで混雑を緩和させ、料金を低めに誘導して需要の喚起を図るとのことには理解を示すものですが、競争力のある観光地や施設にだけお客さまが集中し、そうでない地域や施設は今までのように連休の恩恵を受けることができなくなるという心配もあります。こうした点も含めて検証が必要だと思います。

宿泊業界の成長戦略 佐藤義正さん(国際観光旅館連盟会長)(4)に続く

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