働き方-一人の努力で職場が変わる
観光シーズンから少し外れているこの時期、職場環境を見直す良い時期でもあります。
各地の旅館ホテルに出向き、様々な職場環境を見ていますが、どこも本当に人手不足です。世間は「働き方改革」と銘打って動いていますから、「働く側」も8時間労働を目指し、有休を取り、ネットで様々な情報を仕入れて、より多くの給料がもらえるように考えている人が多いようで、会社側はその対応に追われ、従業員をどのように働かせ、どのように休みを取らせるか、試行錯誤の繰り返しです。
ある旅館では、8時間労働を徹底させ、残業を減らすようにしていると、従業員側からもっと働きたいという声が出たそうです。驚くことに、会社側は「それなら他所でアルバイトをして」と言ったとのこと。昔はアルバイト禁止が当たり前だったかと思うのですが、いろいろと変わってきたのですね。
「従業員が働きやすい環境を作っていきたい」というのは、会社側ももちろん考えていることですが、お客様があってのこの業界は本当に難しいものです。
この年齢まで料理人としてやってきた私としては、仕事をし、仕事の後も自分の腕のために職場で修業し、休みの日にはほかの料理を目にするために動き、すべて仕事につながるようにしていたと思います。
今は暇なのをいいことに、イヤホンで音楽を聴きながら包丁を握っている板前がいたりしますが、そんなことでよいのかと悩みます。時間が取れる今だからこそできる努力を一人ひとりがすることで、職場が大きく変わることもあります…
(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)
(トラベルニュースat 2019年6月10日号)
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