Go Toの今こそ 「料理」に力を入れる時
Go Toキャンペーンで少しずつ客足が伸びていっていたかと思うと、またコロナウイルスが拡大し、本当に収束がいつになるのか誰にも分からない状況です。
ウイルスとGo Toキャンペーンに翻弄されているのはどの業界もでしょうが、日ごとの動きまで左右される旅館ホテル業界は、この流れに疲れ切っているところも多々あることでしょう。
春、やむを得ず休館したことで休みを増やされていた従業員は、給料が安いからと、ほかでバイトをしている者もいました。再開しGo Toキャンペーンが始まると急速に忙しくなり、バイトと併用していた従業員は本職がおろそかになっているようです。
そもそも、労働者に対して「1日8時間労働・週休2日」を推奨していたわけですから、本職以外に働く時間は取れるのでしょうが、安易にそれを許していると、どちらが本職かを忘れるほどの気の緩みが出てくる者もいます。ある厨房では、バイトとの調整をするために自分の携帯電話を厨房に持ち込み、携帯ばかり眺めている者もいました。
また、少ない人手でやりきるためには仕方ない部分もありますが、魚をおろすのも全部業者任せ、なかにはゆで卵まで発注している厨房があり呆れてしまいました。料理人として恥ずかしい限りです。料理人は職人です。どこまで知識や技を習得しても、そこにゴールはありません。より高みを目指すには、時間にとらわれない働き方も必要なのではないでしょうか。時代に逆らうようではありますが、自分が勉強する時間は就業時間以外にも必要だということを忘れてはいけません。
また、各旅館からの話を聞いていて気づくのですが、このコロナ拡大の中、どの業種もテレワークを駆使しているところが多い反面、旅館組合や旅行業者は出歩くことが本当に多いと感じます…
(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)
(トラベルニュースat 2020年12月10日号)
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