人材紹介と部屋稼働 厨房ならではの要望に応える
私の仕事の中には「人材紹介」というものもあります。現在、ありがたいことに全国各地に料理人を紹介し、各旅館ホテルでお世話になっているのですが、人手が足りなくなった時の料理人の手配、新しいホテルが建つ時に腕の立つ料理人を紹介するなど、このようなコロナ禍ではありますが、技を持つ板前の需要はまだまだたくさんあります。
ただ、この紹介の仕方も、時が経つにつれて様変わりしてきました。昔なら料理長クラスが動く時、自分のもとでそれまで修行してきた若い板前たちを連れて一同で動くことが当たり前でしたが、昨今はオーナーや社長がおのおの手配をし、一般公募のように面接をした上でほうぼうから集められた料理人を一つの厨房に集めてスタートするホテルも増えてきています。そのほうが自分の思いが直接個々に届いたり、面倒な人間関係が煩わしくないと考えてのことなのかもしれません。
いくつかの場所で経験を積んだ者たちが少しの面接によって集められて動いていくというのは、利点ももちろんありますが、同じ方向を向かせるという意味では苦労する旅館ホテルも多いと聞きます。「これくらいの技術があると面接で聞いていたが、実際動いてみるとまったくできなかった」「自分がしてきたことを正解と考え、臨機応変に動いてくれない」と悩むオーナーも多くいらっしゃいます。
現状の厨房内を考え、「これぐらいの年代がほしい」「煮方までできる人材がほしい」「これくらいの業務でも満足できる人がほしい」「引っ張っていくリーダー気質の人間がほしい」など、厨房ならではの要望を聞いた上で手配ができるのは、この業界に長く生きたわたしの小さな強みのひとつではないかと考えております。もし悩まれているオーナーの方がいらっしゃれば、お声がけいただけたらと思います…
(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)
(トラベルニュースat 2021年10月10日号)
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