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春到来 新たな取り組みへ研さんを

先月は、指導者の務めについても少し書かせていただきました。

少ない人員でやりくりをしている旅館ホテルは多く、マルチタスクを取り入れようにも、それぞれのスキルに大きな幅があり、うまく回すことができないという意見も多々聞きます。まだ次の繁忙期に向けて増員できるところは少ないでしょうから、何とか現場を回しているのだと思いますが「せっかく久しぶりに来たのにサービスの質が落ちた」「聞いても何も分からない従業員が多い」「呼んでもなかなか人が来ない」とクレームにつながっていませんか。

少ない人員で回すためには、やはり従業員一人ひとりのスキルアップが大切です。今、私の旅館にも他の旅館で働く板前が数名ほど順に研修に来ております。数日宿泊し現場の料理人と働きながら仕事の流れや作業手順、接客の仕方などを学んでもらっています。全国的にコロナ禍で忙しくない時期だからこそできることですが、料理長、二番手、三番手の若手が研修しているのです。

普段、自分のホテルでのやり方だけを見ている板前たちは違う旅館での仕事のやり方に驚きつつも刺激を受けることが多いようです。特に二番手三番手などは、まだ他の旅館を経験していない者も多いからか頭も凝り固まっておらず良いことを柔軟に受け入れようという姿勢が見て取れます。

冬季オリンピックは盛り上がりを見せていましたが、オリンピックに出るような選手は1日何時間も練習し1日をその競技のために動いている人が多いのだと思います。料理人も同じで、やはり日々積み重ねる努力の時間が多少なりとも必要ではないかと感じてしまいます。オーナーや支配人の理解が必要ですが、実りある時間になるのではないかと感じています…

(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)

(トラベルニュースat 2022年3月10日号)

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