リニューアル 料理長の腕の見せどころ
気持ちの良い季節を迎え国内・海外ともに旅行者は増えていましたが、大型連休もあり客数にばらつきがある時期です。仕入れのタイミング、従業員のシフトなど調整が難しくなりますね。
忙しい時期に少人数で無理強いされた従業員は、閑散期になると不満を出したり、気が抜けて大きなミスをしたりしがちです。時間にゆとりのある時には、オーナーとリーダー間でも対話する時間をとり、社員やパート全員の動きや気持ちにも寄り添う時間が必要です。不満を出さずとも、暇になった瞬間に努力を忘れ、新しいことに取り組もうという気持ちをなくし、だらだらと過ごしてしまう人もいます。
これは料理長クラスにも言えることです。何年も同じ職場で料理長をしている者がコロナ後に新しい職場に移っても、うまく動けないことが多く、のみ込みが悪い、知識が足りない、アイデアを出せないなどの話をオーナーや支配人よりよく相談されます。
同じ場所にいて、ある程度自分の旅館ホテルの情報を知識として入れている者は、ただその日が終わればいいという気持ちで仕事をしてしまっています。これでは本人の成長になりませんし、これが料理長ではその旅館ホテルの成長に歯止めをかけることになるのです。トップを動かすというのはどの部署でも勇気のいることですが、旅館ホテル全体のことを考えると必要なことなのかもしれません。
この観光トップシーズンに、大きく装いを変えリニューアルオープンした鳥取県の「斉木別館」の内覧会に行かせていただきました。客室を一部変え、レストランを大きくリニューアルし、メニューも新しく変わったものが多くありました。コロナ禍では本当に苦しめられたバイキング形式ですが、素晴らしい進化を見せていただくことができました。私は現在「客前料理」に重きを置いていますが、これはもちろんバイキング形式のところでも活用できることがたくさんあります。良いところを採り入れ、バイキングの良さも生かした今回のリニューアルは、きっとこれからの強みになると思います。
各地の旅館ホテルでも様々なリニューアルをされていますが、どれだけリニューアルをしても、やはり「料理」というのはお客様の中で重要な決め手になっています。…
(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)
(トラベルニュースat 2023年5月10日号)
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