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人員確保と就業時間 指導だけでは育たない従業員

気づけばマスクをとったままで街中で行き交う人々が増えてまいりました。何年も続いた「マスク生活」もようやく薄れてきています。コロナやインフルエンザの波はまだ続いておりますが、ウイルスとの付き合い方自体、私たちが変わっていかなければいけません。

この数年で廃業に追い込まれたり、大幅なリストラを強いられるなどコロナ禍により大きく影響を受けた観光業界ですが、設備面や資金繰り、人の配置などまだまだ落ち着けていないところはたくさんあります。

どこも一番難しいことは「充実した人員」のようです。

コロナ禍での人員確保は、まさに波のようでした。減らしてはまた増やすという増減を強いられる状況で、十分な教育・指導をできないままに、しっかりとした接客ができないままの従業員が現場にあふれているところもあると聞きます。

お客様からの質問に対して答えるだけであっても、「質問に対する答えが分からない」という単純なクレームよりも「迷惑そうに答えられた」「質問とは違う答えばかり返ってくる」「笑顔がなく機械のように対応された」などのクレームの方が圧倒的に多いのです。質問に答えるだけではお客様も「サービス」とは認識してくれません。これはただ答えを教えるという指導だけでは習得できないものです。

また、就業時間の問題もあります。

実働8時間といわれる中、その8時間の密度は人によって様々です。もちろんそれぞれの技術や能力の差もありますが、これが従業員間の不満になり、いらない揉めごとに発展しているところもあります。しっかり8時間労働を守り残業時間をなくしているところでは従業員が勝手に外でアルバイトをしており問題にもなっておりました。

「労働」は生きていく中でなくてはならないものですが、これを支える「労働基準法」は職種によって内容を変えるべきではないかとつねづね思います。自分に技術を身につけなければいけない職種に8時間労働は難しくもありますし、いわば24時間人材が必要になる旅館ホテルなどは少ない人員を動かすために8時間では足りないのが現状です…

(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)

(トラベルニュースat 2023年11月10日号)

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