効率化 従業員と対話する時間を
各所様々な集まりにお邪魔させていただく機会が増え、いろいろとお話を伺っております。
地域を問わずどこも、従業員の増減、配置、能力での悩みはつきもののようです。何とか対策を立て、業務の効率化を図り、少しでも人手を使わず業務が回るよう動いているところも多いですが、間違った対策を立てたばかりに苦労しているところも多いようです。
満館でも20名ほどの料理旅館が人出不足という理由で食事をバイキングにしておりました。大型ホテルではない20名ほどの料理旅館でバイキングをしても食材の無駄が大きいのではないでしょうか。
また、違うホテルではバイキングでの朝食に社員は一人もおらず2、3名のパートで回していました。全体を見て回る余裕もなく、荒れた状態を放置しています。整理整頓されていないバイキング会場で、残り少ない料理を目の前にして朝食をめしあがるお客様が満足感を得られるでしょうか。
こうなると、旅館とビジネスホテルの差がなくなってきているように感じます。少なくとも、料理旅館を選んでお越しになるお客様は、ただ泊まることだけを求めているわけではなく、料理とそれに伴うサービスに期待してお越しになられていることでしょう。料理に効率化ばかり求めていては、旅館の良さはなくなってしまうのです。お客様の目線に立って物事を考え、旅館やホテルは「おもてなしの場」であることを思い出してほしいものです。
従業員との接点を持たずにチェックインできるホテルや、タブレットを使って注文する飲食店もたくさんあります。人と人との接点を減らしていっても、そこで働く従業員同士は、必ず対話をしながら仕事を進めていかなければなりません。支配人やオーナーは、従業員のことを知っていますか。人数が分かっていても、顔と名前が一致しない支配人やオーナーも多いのではないでしょうか…
(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)
(トラベルニュースat 2024年6月10日号)
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