五感で愉しむために 会話で満足度をあげる
「料理は五感で愉しむ」ものですが、これをいかに活かしていくかは料理人、そして提供者の腕次第で大きく変わります。
先日、奈良県葛城市のちゃんこ鍋コンテストの審査員として参加させていただきました。たくさんの応募の方が趣向を凝らしたちゃんこ鍋を披露しておりましたが、中学生が披露したちゃんこ鍋は、その料理に物語があり、それを面白く説明してくれる楽しい料理でした。これだけでその料理が一段と美味しく感じます。
料理人が作る料理は、ある意味「美味しくて当たり前」です。一定の基準があり、その予想を超えたときに初めて「美味しい」と思っていただけるのですが、料理の説明がなかったり、武相荘にマナー悪く提供されたりすると、美味しい料理も一気にマイナスの印象になります。
味はもちろんのこと、盛りつけの仕方・器で美しさを表し、料理の説明や食事の場の雰囲気を和らげる会話で心を和ませ、料理を楽しもうというお客様の気持ちを高めさせることで、お客様の満足度は何倍も変わってきます。
日々の業務で、従業員も流れ作業のようになってしまいがちですが、心を込めた接客が大切ではないでしょうか。
近ごろサービスの乱れをよく耳にします。
従業員の頭数だけいれば上層部は満足し、これぐらいできて当然だろうと考えてしまいます。特に大きな旅館ホテルは、頭数だけを考えて労働時間厳守ばかり気にしていると、サービスはどんどん低下しているようです。
授業員の悩みに耳を傾けず、本当の現場の現状を見ようともしない上層部には、従業員もついていかないでしょう…
(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)
(トラベルニュースat 2025年3月10日号)
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