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オールインクルーシブの魅力 小樽旅亭蔵群

久しぶりに北海道へ行った。千歳で仕事をし、小樽まで足を伸ばした。もう何年前になろうか。石原裕次郎記念館に行きたくて、駅に到着してタクシーで直行した記憶がある。すでに閉館して2年が過ぎ、建物は取り壊されて更地になっているという。

運河のまちである小樽は、洋館建ての建物が点在し、異国情緒あふれるまちである。無料で入館できる旧・日本銀行は、重い扉や高い天井など当時の面影を残し、分厚い扉の金庫に入って1億円の札束を抱える体験もした。無料にしては見応え、遊び応え十分であった。ランチに寿司を食べ、ガラス館やオルゴール館を見て歩き、運河まで出て記念撮影。2時間あまりの散策であったがまち歩きを堪能した。

今回の目的は小樽観光もさることながら、本命は宿であった。小樽市街から車で約20分の朝里川温泉にある「小樽旅亭 蔵群」に泊まることであった。オーナーが建築家と出会い、「心地よい宿」を求めて全国を泊まり歩き、何回も修正を重ねて創りあげたといい、丁寧に創り込まれたハードとソフト、そして、オールインクルーシブのシステムとの整合性を体感したかったのだ。

オールインクルーシブは、食事や飲料、アクティビティなど館内で消費するすべてのもの(一部有料の場合もある)が宿泊料金に含まれているというシステム。果たして、コストパフォーマンスはいかがなるものか。宿泊料金はこれまでの生涯で、もっとも高額の1泊3万8650円(税サ込み)なり。

宿は朝里川沿いに立地し、館名にあるように、蔵をイメージした建物を回廊で結ぶという形に建物を配置。石や木などをふんだんに用いてモダンな空間を創造している。なかでも開放部は床から3分の2程度の高さにし、歩いている姿は見えても顔が見えないような造りである…

(井村日登美=ホテルジャーナリスト)

(トラベルニュースat 2019年10月25日号)

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