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日本初の競輪場に付帯するホテル KEIRIN HOTEL10

先般生まれて初めて競輪場へ行ってきた。場所は、岡山県玉野市。玉野競輪場が今春リニューアルオープンし、スタジアム一体型ホテル「KEIRIN HOTEL10」が誕生。我が国初の競輪場に付帯するホテルである。

玉野競輪場は、今や国内外から多くの観光客を呼び込んでいる「瀬戸内国際芸術祭」の作品の展示や島々に渡る玄関口である宇野港近くに立地。ホテルは、バンクと言われる競技場に面して建設され、競輪開催中は選手の宿泊施設としても利用される。

バンクは一周400メートル。センター部分の傾斜は約30度で、まっすぐに立っていられないほどの傾きである。小さなゴミが一つでも事故につながりかねない。粘着型のコロコロでゴミをとるという念の入れようだ。そうした手入れの状況や選手たちの練習風景など、レース以外の競輪場の日常も見ることができる。

建物は、地上8階建てのホテル棟と、レストランなどが入居する同4階建てのスタンド棟の2棟で構成する。館内は、70年以上の歴史を刻んできた競輪場で使われていたイスやロッカー、表示板、自転車の車輪、サドルなど使える廃材は使うという考え方で活用。新旧の良さを上手に取り入れている。

ホテルは、9人の選手で競技をする競輪でゲストを10人目の選手と位置づけて作った。各フロアは、競輪選手が9色のヘルメットやジャージに色分けしてレースを行うことから9色に分けた。外観も色分けし、カラフルで明るいイメージに仕上げた。

客室は、全149室のうち126室がバンク側に配置。レースを観戦でき、瀬戸内海も一望できる眺望が楽しめるロケーションの良さだ。内装は選手のロッカーをイメージして、壁にはバンクまでの案内を描き、壁かけ式で小物を収納。部屋着は太腿廻り70センチ以上の競輪選手でも着用できるというオリジナル。テレビには競輪情報チャネルがあり、部屋にいながら競輪を楽しめる。5階以上がテラス付きで、バンクをより身近に感じることができる。

館内には競輪ギャラリーを備え、競輪や競輪選手のことが紹介されており、ここで学習して競輪を見れば、さらに面白いだろう。

スタンド棟の2階にあるスタジアムレストラン「FORQ」は椅子やテーブル、照明の器具などに廃材を活用し、約100席を整備。瀬戸内海の食材を使ったスパイス料理をクラフトビールとともに提供する。食事をしながら目の前でレースを観戦できるというぜいたくな空間だ。レースがない時は、モニターでパブリックビューイングを見ることができる…

(井村日登美=ホテルジャーナリスト)

(トラベルニュースat 2022年8月25日号)

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