ダイヤモンド・プリンセスのウイルス禍
年間を通して日本発着クルーズを行っている「ダイヤモンド・プリンセス」の船内で、新型コロナウイルスの集団感染が発生した。
同船が横浜港を出港して2週間あまりの東南アジアクルーズに向かったのが1月20日。乗客の中に香港から空路来日して乗船し、1月25日に香港で下船した客に新型コロナウイルス感染が判明した。ちょうど同船が2月1日に那覇に寄港中のことだった。乗客乗員の検疫および入国審査も那覇で済んでいて、後は予定通りに横浜まで帰るはずだったが状況は一変する。日本政府は再検疫を決定し、船はスピードを上げて2月3日夜には横浜沖に到着して、症状のある273人の再検疫が行われた。
その結果、10人の感染者が判明して、4日朝から乗客全員の2週間の客室隔離が始まった。隔離終了までの間、感染者が連日判明したが、これは症状のある人だけに五月雨式に検査を行った結果であり、専門家は船室での隔離開始後の乗客間での感染は防げたと判断して、ウイルス検査が陰性だった乗客の帰宅が19日から順次行われた。この時点での感染者数は621人に上った。
最初の感染者が横浜乗船時には症状がでていたことから、16日間のクルーズ期間全体にわたって船内で感染が広がったこととなり、1人が1・5人に感染を広げると600人を超える計算になる。この数字からすると、政府の水際対策がクルーズ客船については成功したこととなる…
(池田良穂=大阪経済法科大学客員教授)
(トラベルニュースat 2020年3月10日号)
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