ポストコロナのフェリー利用
新型コロナ禍もようやく落ち着きを見せてきて、ポストコロナの旅行の在り方を探る動きが活発になってきています。近場の観光では、混雑して3密になりやすい公共機関を避けて乗用車での移動が増えると考えられます。しかし、地球温暖化を遅らせるためにCO2の排出を減らすという社会的ニーズも考えると、むやみに乗用車での移動を勧めることもはばかられます。
そこで考えられるのが電気自動車の活用です。電気自動車への充電を自然エネルギーで作られた電力だけにすればCO2の排出はなくなるので、そうした旅のスタイルが定着するかもしれません。観光旅行はそう頻繁にするわけではないので、都会でも、多少時間はかかっても自然エネルギーだけで充電できる供給施設ができれば嬉しいところです。こうなると観光目的地の田舎の宿泊施設で、自然エネルギー由来の電力の供給ができることを売り物にすることができそうです。ここでいう自然エネルギーとは、太陽光、風力、波力、水力、地熱などがあり、田舎ほどその可能性は大きくなります。
長距離移動を伴う観光にはカーフェリーの利用が最適だと思います。公共交通機関の中では、もっともスペースがとりやすいため3密回避が容易だからです。電気乗用車をそのまま積み込めば、長距離運転による疲れもなく、車のバッテリー電源の消費もありません。今の電気自動車は、一般的に走行可能距離の短いので、バッテリー切れになる可能性が小さくなることは嬉しいことです。
船内のレストランは広々としており、3密を避けた食事を楽しむことができ、宿泊施設としては、これまでは絨毯敷きの2等の大部屋もありましたが、急速にベッド化そして個室化が進んでおり、今では全室個室という船まで現れています。海風に当たれるオープンデッキはまさに換気全開で、星空を眺めながらの快適なひと時を過ごすことができます。移動の過程もクルーズ気分で楽しめる新しい旅の始まりだともいえます…
(池田良穂=大阪経済法科大学客員教授)
(トラベルニュースat 2020年7月10日号)
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