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瀬戸内海ミニクルーズ

本格的な宿泊型のクルーズが止まっている中ですが、ミニクルーズともいえる宿泊を伴わないクルーズの芽が各地で息吹き始めています。

その中でも注目なのが瀬戸内海汽船グループが中心となって手掛けて、この8月に登場した「シースピカ」による瀬戸内クルーズです。聞きなれない名前ですが、「スピカ」は乙女座の1等星「真珠星」のことです。

同船は、8時半に広島を出発して、呉に寄港し、音戸の瀬戸を通って風光明媚な多島海に入ります。下蒲刈島、大久野島で短時間の上陸をして、生口島の瀬戸田に寄ってから、13時過ぎには三原港に到着します。折り返し広島に向かい、再び瀬戸田と大久野島に寄った後、大崎下島の御手洗港に寄港して、音戸の瀬戸を通り、呉港に寄って18時には広島港に戻ります。まさにアイランドホッピング型の日帰りクルーズが楽しめるコースです。

また、途中で一時的に船を降りて、島でゆったりした時間を過ごしてから帰りの便に乗ることもできれば、途中からほかの行程に移行することもできるという、きわめて自由度の高い自分の旅を作り上げることも可能な船旅です。

瀬戸内海汽船は、かつてほぼ同様のワンデイクルーズを水中翼船や高速旅客船を使って行ったことがありますが、いずれも休止になり、今回が「3度目の正直」となりそうです。

これまでと大きく違っている点は、陸上交通の雄であるJR西日本とタグを組んだこと。これまで、筆者は、瀬戸内のモニタークルーズに幾度か関与しましたが、その時の調査でわかったのは、瀬戸内周辺よりも関西以西の都会に住む人の方が瀬戸内に魅力を感じていることでした。今回のクルーズの発着港の広島と三原にはいずれも新幹線の駅があり、各地の都会と直結しています。JR西日本との連携によって、そのマーケットが大きく広がりました…

(池田良穂=大阪経済法科大学客員教授)

(トラベルニュースat 2020年10月10日号)

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