世界遺産・五島列島の島めぐり
九州・長崎県の五島列島の島々は隠れキリシタンの島として有名で、教会を中心とするいくつかの集落が「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界文化遺産に認定されています。五島という島はなく、中通島、若松島、奈留島、久賀島、福江島の5つの大きな島と、その周辺の島々からなり、南北80キロメートルあまりに連なる列島です。
この五島列島を旅するのには、長崎または佐世保からフェリーに乗るのが一般的ですが、北から南まで列島を縦断して運航されているのが野母商船の「太古」というカーフェリーの旅もおすすめです。
同船は、毎日深夜に福岡の博多港を出港して、五島列島の北端の宇久島から、小値賀島(おぢかじま)、中通島の青方、奈留島に寄港して、朝8時には福江島に到着します。ここで2時間ほど停泊した後、折り返し中通島の青方、小値賀島、宇久港に寄港しながら夕刻には博多港に戻ります。
この船は、離島の生活航路船ですが、船内は生活航路船とは思えないほどにお洒落でかつ充実していて、快適な船旅を楽しむことができます。特に船首右舷にある展望ラウンジは筆者の最もお気に入りの場所です。
博多から乗船して、往復する1泊1日の船旅でも十分に楽しめますが、時間に余裕があれば、途中の港で下船して離島自体を楽しむアイランドホッピングがお勧めです。島々に点在する教会や素晴らしい自然に直接接することができますし、宿泊や食事をすることで島の生活もかいま見ることができます。一部の島以外にはリゾートホテルのような立派な宿泊施設はなく、小規模に旅館や民宿ですが、それもまたいいものです。
さて、「太古」の船旅のハイライトは、若松瀬戸の通過です…
(池田良穂=大阪経済法科大学客員教授)
(トラベルニュースat 2021年5月10日号)
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