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フェリーを使った修学旅行 SDGsや社会見学の学び

北海道の港町室蘭で育った私の中学の修学旅行は、列車と青函連絡船を使った仙台と松島への旅でした。そのころは北海道を出る旅はほとんどがこのルートで、長時間の列車が当たり前でした。今では北海道への人流の86%は飛行機となり、続いてフェリー8%、鉄道6%となっています。

北海道に長距離フェリーが開設されたのは昭和45年で、舞鶴と小樽を2泊3日で結ぶ航路を皮切りに、苫小牧や室蘭の港を発着する航路も開設されました。現在では、舞鶴に加えて敦賀、名古屋、大洗、新潟、秋田、仙台から北海道に渡る航路が運航されています。また中距離の八戸航路もあり、鉄道連絡船が消えた青函航路にもカーフェリーが就航しています。

これらのカーフェリーはトラック輸送を中心としていますが、旅客設備も備えており、400―800人の旅客を一緒に運ぶことができます。カーフェリー化で船体が大きくなったので、船酔いの恐れも大幅に軽減され、自動車輸送が中心のため乗客を乗せても船の燃費はほとんど変わらないので、乗客1人あたりのCO2排出もほとんど増えないという究極の環境に優しい交通機関であり、SDGsの実践的学びもなります。

このフェリーを修学旅行に使う動きを加速するために、北海道運輸局の苫小牧海事事務所が、中学校の先生と旅行会社社員を対象としたファムトリップを行うこととなり、筆者も講師として参加することになりました。船を使うことにより修学旅行がどう充実できるのかにたいへん興味がありました。

もちろん船を使った修学旅行がなかったわけではありません。かつては瀬戸内海には、関西汽船や瀬戸内海汽船が修学旅行専用客船を運航していました。しかし、修学旅行の多様化に伴って、これらの専用船は姿を消しました。また、客船の海難事故の可能性が、行政や父兄から心配の種として指摘されて船の利用をためらわせたことも、船の利用を減少させました。しかし、他の交通機関に比べて客船の事故確率は決して高くないことが認知され、客船を再び修学旅行に使おうという動きが出てきました…

(池田良穂=大阪経済法科大学客員教授)

(トラベルニュースat 2021年11月10日号)

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