フェリーきょうと登場 ワンナイトクルーズの旅
また瀬戸内海に新しい大型フェリーが登場しました。船名は「フェリーきょうと」で、運航するのは名門大洋フェリー。総トン数は1万5400トンで、全長195メートル、幅27・8メートルの大きさで、船内には全通する2層の車両甲板と、その上に3層の旅客および船員用の甲板があります。旅客675人、トラック162台、乗用車140台を積んで、23・2ノットのスピードで、大阪南港と新門司港の間を13時間弱で結びます。大阪駅のプラットフォームの長さに近い巨大な建造物が、時速40キロメートルで海上を走るのですから迫力満点です。ちなみに幅は電車の約9倍あります。
この船は「フェリーきょうとⅡ」の代替船として、三菱造船によって下関の造船所で建造されました。船は15年で減価償却が終わるので、船齢20年くらいで新しい船に変わるのが普通で、この船もちょうどその船齢での交代ですので、順調な経営サイクルが維持されている証とも言えます。「フェリーきょうとⅡ」は韓国に売却されて第2の人生を送ることになりました。
さて昨年12月に、大阪南港のフェリー埠頭での「フェリーきょうと」の披露に出席して、船内を見せてもらいました。タラップから乗り込むと、そこは2層吹き抜けのロビーで広い階段で上下の階が結ばれていました。内装のコンセプトは「古都のたたずまい」でシックな装いでしたが、3月に就航する姉妹船「フェリーふくおか」は「ベイサイドシティのきらめき」とまた違った雰囲気なのだそうですので、こちらも楽しみです。
船内の新型コロナウイルス対策は万全で日本のフェリーの定番だった大部屋は姿を消して、全て個室またはベッド室にグレードアップされていました。1人旅に便利な個室もあります。パブリックスペースとしては、展望レストラン、展望ラウンジ、インサイドプロムナード、テレビラウンジ、キッズルーム、そしてパウダールーム・授乳室も用意されています。
最上階のオープンデッキに出ると巨大な煙突が聳え立っていました…
(池田良穂=大阪経済法科大学客員教授)
(トラベルニュースat 2022年2月10日号)
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