現場を見て学ぶ大事さ 船舶技術系大学生のための研修旅行
中学や高校では修学旅行がありますが、大学になると学校単位での学生旅行はなくなり、研究室旅行や気の合った友ちだ同士での卒業旅行などが行われる程度となります。
そんな状況のもと古巣の大学の後輩教授から頼まれて、船舶工学を学ぶ大学生のための研修旅行を企画することになりました。実際に運航されている船を見ることと、その船の建造される造船所での仕事を実際に見ることは、船舶工学という専門的な学問を学ぶ上でとても大事です。百聞は一見にしかずの諺通り、直接接してみて理解の度合いが深まるためです。
乗船したのは大阪南港発の名門大洋フェリーの夜行フェリー「フェリーふくおか」でした。まずブリッジを見学させていただき、この船のエンジンやその制御について機関長から説明を受け、最先端の省エネ推進システム、着岸時などの横移動のためのスラスターなどの装置について学びました。次に船長からは操船方法やレーダーの見方についての説明がありました。参加した学生の中には自動操船の研究をしている者もおり、実際の船の最新の操船装置を見て、その活用法の説明を受けて、興味津々の様子でした。
この後、船内の各種の船室、公室などを見学した後、会議室で旅客本部長から「フェリー講座」と題する講義を拝聴しました。名門大洋フェリーの歴史と現状、カーフェリーの特徴と社会的役割、フェリーによる旅客輸送の特徴、環境対策、荷役の効率化などについて詳しく知ることができました…
(池田良穂=大阪府立大学名誉教授・客員教授)
(トラベルニュースat 2022年10月10日号)
- 急増する小型豪華客船(24/11/15)
- 日本一周クルーズと地方活性化(24/10/15)
- アイランドホッピング 東京―伊豆諸島―下田(24/09/11)
- アラスカクルーズ 観光公害を防ぐ人数制限の協定(24/07/12)
- 津軽海峡クルーズ(24/06/13)
- 寄港地潤すクルーズの経済効果(24/05/14)
- 現代クルーズ発祥地は今(24/04/15)