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クルーズマーケットの急回復

海外ではクルーズやフェリー事業に関する国際会議が数多く開催されています。今年もマイアミで恒例の国際会議・展示会「シートレード・クルーズ・グローバル2023」が4日間にわたり開催されました。日本の各港からも関係者30名あまりが参加して、日本へのクルーズ誘致活動を展開したといいます。

この国際会議の冒頭にCLIA(国際クルーズライン協会)からクルーズの現状の紹介がありました。それによるとクルーズ業界は、他の国際観光よりもかなり速いスピードで回復しており、今年の年間利用者数は、コロナ前の2970万人を上回る3150万人を達成する見込みだといいます。昨年が2040万人だったので、それを1千万人も上回る勢いです。こうした急回復を可能にしたのが、コロナ禍においても新造船の建造を止めずに、その3年間に53隻、418万総トンの新造クルーズ客船の引き渡しを受けたことにあります。ベッド数で3万床もの増加になっています。この積極的な判断が今の盛況につながっている点は見逃すことができません。

クルーズは元々リピート率の高いレジャーですが、コロナ禍後に行った、乗船直後の乗客アンケートでは「また乗船したい」という回答が、コロナ禍前の65%に比べて20%も増えて85%になったといいます。クルーズ業界では、コロナ禍を経て、よい循環が一気に回り始めているようです。

海外のクルーズ会社は、早ければ3年前にはクルーズ運航計画をたてて寄港地の岸壁予約を始めます。特に、アラスカのジュノー、地中海のサントリーニやコルフなどの人気の寄港地は早い計画が必須となります。このためクルーズはマネージド・ツーリズムだと言われているとのことです。つねに先を見た計画と準備、すなわちマネージメントが必要とされるといいます…

(池田良穂=大阪府立大学名誉教授・客員教授)

(トラベルニュースat 2023年4月10日号)

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