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外国籍クルーズ客船の来日

3月からの日本のクルーズ客船寄港受入再開を待っていたかのように、外国籍船の来航ラッシュが続いています。ちょうど世界一周クルーズの季節でもあり、その途中で日本の港に寄る船もあります。

かつては日本の各港は「クイーンエリザベス2」のような世界一周でやってくるクルーズ客船の寄港誘致に力を入れてきました。そんな状況を見て、各地での講演をさせてもらう機会には、年数回しか来日せず日本の寄港地も数えるほどの船の誘致に力を入れるよりは日本発着のクルーズを行う船の誘致に力を入れるべきとの持論を披露してきました。そうしないと経済波及効果もあまり期待できないためです。

ところが、今春のクルーズ客船の動きをみてみると、かなり状況が変わってきたことに気づかされました。世界一周で来日して、国内の港を点々と寄港するクルーズ客船が現われているのです。例えば、ドイツの観光客を乗せた「アマディア」は清水、東京、名古屋、大阪、広島、金沢、新潟、長崎、鹿児島、那覇の10港に寄港していきました。

また、来日したあと日本発着のクルーズを何本か行う船もかなりの数に上ります。そのクルーズは、かつては日本籍のクルーズ客船の定番だった日本一周クルーズに近く、日本各地の観光地を巡ります。飛行機で発着港まで移動してクルーズを楽しむスタイルをフライ&クルーズと呼びますが、こうしたクルーズを楽しむインバウンド客が急増しているのです。

周知のとおり、クルーズはホテル自体が移動して、交通の便がよくないローカルな地方にも簡単に行け、かつ言語の不自由もありませんから、外国人にとってはとても楽で便利な旅です。この特性が評価されての結果なのかもしれません。特に1―3万総トンの小型高級船や探検船の寄港地は多彩です。起点は横浜や大阪ですが、宇和島、唐津、鞆の浦、境港、金沢、佐渡島、屋久島、萩、松江、室蘭、網走、利尻、小樽など全国の地方港をこまめに廻る船も現われています。これは国内の地方の観光地が、海外雑誌などで高い評価を受けていることと無関係ではないように思います…

(池田良穂=大阪府立大学名誉教授・客員教授)

(トラベルニュースat 2023年5月10日号)

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