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現代クルーズ発祥地は今

14年ぶりに現代クルーズ発祥の地であるマイアミ港を訪れました。新型コロナ禍によって大打撃を受けたクルーズの北米市場での復活状況を見るとともに、世界最大のクルーズ客船として登場した25万総トンの「アイコン・オブ・ザ・シーズ」に会うためでもありました。もちろんカリブ海クルーズに久々に乗るのも目的の1つでした。

さて、1960年代に誕生した現代クルーズの基本的コンセプトは、高齢富裕層のレジャーだったクルーズを現役世代もが楽しめる気軽な旅にするために、サービスの品質を保ったうえで安価にし、さらに乗りやすくするために短くすることでした。

リーズナブルプライスを実現するために規模の経済を活用し、乗りやすくするために週末の金土日の夕刻に出港して、同じ曜日の朝に戻る1週間クルーズを、年間を通じて定期的に続けるスタイルとしました。そして全米から飛行機で乗客をマイアミに集めるというフライ&クルーズを積極的に展開しました。このスタイルは現代クルーズが急成長した80年代から変わっていませんが、船の大きさも旅客定員も10倍以上になりました。その巨大船が週末の3日間はマイアミ港に毎日6―8隻もずらりと並んでおり、それでも足りずに岸壁とターミナルビルの新設工事が進んでいました。

昨年のマイアミ港の統計によると、クルーズ客数は730万人に達し、コロナ前の19年の7%増となっています。経済効果は6・5兆円で、34万人の雇用を生み出しているといいます。港はクルーズ客船の誘致とともに、コンテナ船の誘致も進めており、年間109万個のコンテナを扱うようになり、クルーズとコンテナを合わせた港関連の経済規模は、マイアミ広域市のGDPの19%を占めるまでになっています。

今回の渡米では、木曜日午後にマイアミに到着して、週末3日間に出入港するクルーズ客船の姿を毎日眺め、その中には「アイコン・オブ・ザ・シーズ」の姿もありました。

そして日曜の夕刻出港の23万総トンの「オアシス・オブ・ザ・シーズ」に乗船しました。乗客は6千人を超えて満船状態で、一部屋を4人で使う家族も多い状態とのこと。イースター休みであったこともあり、子ども連れの家族がたくさん乗船していました…

(池田良穂=大阪府立大学名誉教授・客員教授)

(トラベルニュースat 2024年4月10日号)

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