津軽海峡クルーズ
本州と北海道の間の津軽海峡を渡って北海道に渡るには、列車で海底トンネルを通って行く方法もありますが、海峡を船で渡ることもでき、青森と函館を結ぶことから青函航路と呼ばれています。
かつてはJRの鉄道連絡船が運航されていましたが、海底トンネルの開通に伴って姿を消し、現在は旅客と車を輸送するカーフェリーがたくさん運航されています。青森と函館の間の航海時間は4時間弱。運航するのは津軽海峡フェリーと青函フェリーの2社で、それぞれ3―4隻の船を投入して切磋琢磨して、海峡横断サービスを行っています。この航路を唄う「津軽海峡冬景色」を口ずさみながら船で函館に近づくと、函館山が優しく迎えてくれるので、北海道に行くときには、ぜひ青函航路の船で津軽海峡を渡ってみてください。
さて昨年10月から津軽海峡を渡る航路に、津軽海峡フェリーが青森―室蘭航路を新設しました。青蘭航路と呼ばれ、かつて航路があったのですが、廃止されてから随分なりますので、久々の再開です。同社が青函航路に使っていた4隻のフェリーの1隻をこの航路にシフトさせました。青函航路の航海時間が約4時間なのに対して、片道7時間余りかかりますので、1日1往復で、上りは夜行便、下りは昼便です。船旅を楽しむ人にお勧めしたのは、もちろん昼便です。
この昼便は、毎日9時に青森港を出港して、16時少し前に室蘭港に到着します。この航路の船旅の魅力を体験するために、6月に乗船してみました。
船は8千総トン級の「ブルーマーメイド」。出港して1時間過ぎた10時ごろ、右には下北半島が近づき、左には津軽半島の平館灯台が見えました。10時40分ごろには、左のはるか遠くに竜飛岬が見え、右に下北半島の名勝地仏ケ浦の絶壁が見えました。
11時40分、まぐろで有名な大間町の沖を通過。港内には函館との間を結ぶフェリー「大函丸」の姿が遠望できました。こうした移り行く景色に関する案内表示が船内になく、デッキから景色を眺める乗客が皆無なのは残念です。
大間を過ぎると、船はいよいよ津軽海峡に乗り出します…
(池田良穂=大阪府立大学名誉教授・客員教授)
(トラベルニュースat 2024年6月10日号)
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