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アラスカクルーズ 観光公害を防ぐ人数制限の協定

現代クルーズの発祥はカリブ海ですが、それに続いたのはアラスカでした。カナダのバンクーバーを発着港として、アラスカの氷河見学がクルーズの目玉となり、現在ではアメリカのシアトルとバンクーバーの2港がそのハブとなっています。

30年ぶりにアラスカクルーズに乗船してみました。30年前に乗船したのは1・8万総トンの「サン・バイキング」でしたが、就航する船はどんどん大型化して、今回乗船したのはホランド・アメリカ・ラインの10万総トンの「コーニングスダム」という船でした。

この会社は、元々はオランダの定期客船運航会社で、150年の歴史のある会社です。1970年代に定期客船が航空機にその座を奪われて姿を消した後、クルーズに業態を変換し、いち早く北米に拠点を移してアラスカクルーズの開拓を行いました。アメリカのアラスカ観光を行っていたウェスツアーズを買収して、クルーズとアラスカの陸上ツアーを組み合わせたパックツアーを販売することで人気を集めました。

今回、筆者が参加したのはバンクーバー発着の1週間のクルーズだけのツアーでした。アラスカ・インサイドパッセージ・クルーズという商品名で販売されて、カリブ海クルーズに比べると料金は1・5倍ほどしました。

インサイドパッセージとは、北米西岸に連なる島々と北米本土との間の内海航路という意味で、日本の瀬戸内海と同様の多島海で、外海とは島で遮蔽されているために静かで揺れる心配はほとんどありません。

またアラスカに入ると、内陸に食い込むフィヨルド内の航海となり、氷河が作り出した急峻な山々に挟まれた水域を航海し、両岸には雪をかぶった千メートル級の山脈がどこまでも続きます。また、1万年余りをかけて温暖化の中で溶けてきた氷河の中には、まだ海岸線まで残っているものがあり、その先端から間欠的に氷の壁が崩壊して、流氷が浮かぶ素晴らしい光景も見ることができます。野生動物との出会いも、このクルーズの楽しみで、ラッコ、イルカ、クジラ、白頭わしなどの姿を見ることができました。

バンクーバーを出港して3日目にアラスカ水域に入り、フィヨルドの中のジュノー、スキャグウェー、ケチカンの3港に寄港しました…

(池田良穂=大阪府立大学名誉教授・客員教授)

(トラベルニュースat 2024年7月10日号)

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