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日本一周クルーズと地方活性化

新首相は、地方活性化に力を入れると宣言しており、観光の分野でも、一部の都市に集中して観光公害まで引き起こしている状況を多少とも緩和するものと期待されます。

日本国内にも津々浦々に観光地が点在していますが、大都市を中心に放射状に延びる鉄道網や道路網では繋ぎきれない観光地を、横につなぐのが海を回るクルーズです。筆者が11月に乗船予定のMSCベリッシマは、17万総トンの船体に約5千人の乗客、さらに乗組員を加えれば総勢6500人余りを乗せて、東京出港後、函館、秋田、金沢、済州島、鹿児島を10日間で回ります。

こうした日本一周クルーズを行う大型クルーズ客船の寄港地を調べてみると、北海道では函館、室蘭、釧路、小樽。本州日本海側では秋田、酒田、金沢、伏木富山、舞鶴、敦賀、境港、下関。九州では長崎、佐世保、八代、鹿児島、宮崎、油津、別府。四国では高知、徳島、宿毛。瀬戸内海では広島、高松。本州太平洋側では起点港となる横浜と東京に加えて、ひたちなか、清水、鳥羽、四日市、名古屋、和歌山、神戸、大阪、仙台などの名前がありました。外国客船の場合には、パスポートの必要な外航クルーズとなり、途中で必ず外国の港に寄港しますが、日本籍のクルーズ客船であれば国内の港だけを巡る国内旅行となります。

日本一周クルーズでは、こうした地方の街々を居ながらにして観光して回れます。クルーズでは、「目覚めれば新しい街」というキャッチフレーズがよく使われます。船自体が巨大なリゾート施設ですので、宿泊している間に移動ができ、食事もエンターテインメントも込々料金の「オールインクルーシブ」の特別な旅の形態です。しかも広い船内を自由に動くことができるので、狭い飛行機、鉄道、バスとは違って好きな場所で好きなことをしながら、ゆったりと過ごせます。まさに「アズ・ユー・ライク=お気に召すまま」に過ごせるのがクルーズの最大の特徴です…

(池田良穂=大阪府立大学名誉教授・客員教授)

(トラベルニュースat 2024年10月10日号)

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