フライ&ショートクルーズの楽しみ
日本発着のクルーズを行う外国客船の数が増えています。
その中で最大規模の船がスイスのMSC社が運航する17万総トン級の「MSCベリッシマ」で、その旅客定員は4500人余り。クルーズ料金は1泊当たり2万円弱からと、とてもリーズナブルです。ただ8―10泊程度の長いクルーズが多く、現役世代には休暇の問題で乗りにくいのが現状です。
このようにクルーズ期間が長くなるのは、国内輸送には外国船はたずさわることができないというカボタージュ規制に原因があります。日本発着の場合でも国内だけを回るクルーズはできず、海外の港に少なくても1つは寄る必要があります。最も近いのは韓国の釜山や済州島、台湾の基隆などですが、関東や関西の港を発着する場合には距離が長くなりクルーズ期間がどうしても長くなるのです。
この問題を解決するのが飛行機を活用するクルーズで「フライ&クルーズ」と呼ばれています。飛行機の1時間は、船の1日と言われているようにスピードには差があります。クルーズの発着港を海外の港に近い所にして、発着港までは飛行機で往復するのです。
「MSCベリッシマ」は昨年から、冬季の那覇港発着のショートクルーズをフライ&クルーズとして始めました。国内各地から那覇に飛行機で移動して乗船します。台湾の基隆と、石垣島や宮古島に寄港するという4―5泊のクルーズは、価格も日本各地の空港からのフライト料金も含めて10万円弱からと極めてリーズナブルなものでした。これで交通費、宿泊費、全食事代、ショーやライブなどのエンターテインメントなどがすべて含まれています。
1月上旬に同船の5泊6日の沖縄発着クルーズに乗船してみました。乗客は4千人を超えていてほぼ満船。しかも、台湾人が2千人も乗船しているのに驚きました…
(池田良穂=大阪府立大学名誉教授・客員教授)
(トラベルニュースat 2025年2月10日号)
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