バイキング・エデン 大人のラグジュアリ、日本市場にデビュー
北欧ブランドの高級クルーズ客船「バイキング・エデン」が昨年から日本発着クルーズを始めました。
バイキング・クルーズが、5万総トン級の高級仕様のクルーズ客船の連続建造を始めたのはわずか10年前。現在、14隻あまりの準同型船が世界中でクルーズを展開しています。中国マーケット進出にあたって、同社は中国資本と合弁で招商バイキングクルーズ社を設立して、所有船の一隻を移籍して「招商伊敦」と改名して中国発着の沿岸クルーズや日本クルーズに投入しました。しかし、ラグジュアリ・クルーズ・マーケットが成長していない中国では苦戦したため、昨年からは日本マーケットでも営業を始めました。
中国マーケット以外では「招商伊敦」という船名はバイキングのグループ会社とは分かりづらい。そこで登録船名はそのままにして「バイキング・エデン」というブランド名で販売することにしました。この方がバイキング・クルーズと同じブランドとしてのイメージが浸透しやすいと考えたのでしょう。
その「バイキング・エデン」の沖縄発着の中国・沖縄クルーズに乗船してみました。那覇港を出港して、石垣島、厦門、宮古島に寄る6泊7日のショートクルーズです。船内はバイキング・サン時代と同じく、北欧らしく木材を多用して、ゆったりとした造りになっていました。心配した中国風の改装はなく、船内表示に中国語と日本語が加えられているだけ。サービスも欧米のクルーズ客船とほぼ同じです。ただ、船長以下の士官の多くは中国人で、サービス要員は中国人をはじめフィリピンやインドネシア人の船員で、日本配船にあたって日本人船員も配乗されていました。
さて、同社のモットーは、これまでの欧米のクルーズの常識とはかけ離れたものです。最近のクルーズでは家族連れを大事にしていますが、18歳以下は乗船できません。すなわち「大人の船旅」に特化しているのです。さらに内側客室はない、フォーマルデイはない、カジノはない、スペシャリティ・レストランの追加料金はない、船内写真の撮影はない、チップはないなど「ないないづくし」のクルーズになっています…
(池田良穂=大阪府立大学名誉教授・客員教授)
(トラベルニュースat 2025年3月10日号)
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