若年女性がけん引する国内旅行 高年収で結婚願望のおひとり様
毎年発表されるじゃらん宿泊旅行調査で、今年は近年にない傾向が明らかになりました。それは、20―34歳の国内宿泊旅行実施率の回復です。特に女性については、他年代の低迷を後目に大きく伸ばしました。
10年以上前から私が観察している限り、宿泊旅行実施率は実質賃金指数の低下とともに下降線をたどり、2008年にはそれまで男女ともトップを誇っていた50―79歳の旅行実施率が若年層に抜かれました。意外に思われるかもしれませんが、現在ではシニア層より若年層のほうが国内旅行をしているのです。
賃金の増減に物価上昇率を加味する実質賃金指数は物価が上昇すると低下します。この間、実際の賃金である名目賃金は伸びているので、旅行実施率の低下は円安や消費税増税などによる生活費の上昇によるものと想定できます。
年齢にかかわらず、生活コストが年々増え続ける結果、旅に出る機会が減っていったというわけです。
そう考えると、残念ですが、増税のある今後、当面は国内宿泊旅行実施率の大幅な回復は見込めそうにありません。まだしばらくインバウンドに頼るしかないようです…
(井門隆夫=井門観光研究所代表取締役)
(トラベルニュースat 2019年7月25日号)
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