世代交代、経営分離、観光格差 資本主義がレガシーになる2020
令和2年。2020年が幕を開けました。2の並ぶ今年。後に思い出すと潮目が変わった年として記憶されているかもしれません。
思えば、30年前の1989年。ベルリンの壁が崩壊した年に始まった平成は、歴史上大きなターニングポイントとなる時代でした。昭和後期の1971年に変動相場制導入が発表され(ニクソンショック)、通貨が金という実物貨幣から信用貨幣と変わり、国の信用で国債がじゃぶじゃぶ発行され始めたことが、後の平成時代を生み出しました。信用の高い日本では円高が進み、旅行が大衆化しました。現代の問題点はこの昭和の時代の仕組みをいまだ引きずっていることです。
平成に入り、バブルが弾けて国際会計基準の導入が進み、97年を境に組織は借りるより返すほうが合理的となって自己資本を貯め込み始め、賃金が上がらなくなりました。2010年にはリーマンショックで世界中が日本の後追いを始めます。時を同じくして生産人口も減り始め、消費するより、稼ぎ、貯めることが重要な時代に。
ニクソンショックから50年目を迎える今年、観光は大衆化の25年と失われた25年を経て、新たな時代がスタートします。それは、人口構成上、ベビーブーマー世代からミレニアル世代へのリーダーの交替であり、資本を持つ者と持たざる者の分化です。経営は所有者と運営者に分離していくでしょうし…
(井門隆夫=井門観光研究所代表取締役)
(トラベルニュースat 2020年1月1日号)
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