流氷は地球のメッセージ 北海道紋別市/紋別セントラルホテル・田中夕貴さん
埼玉県・御宿竹取物語の福田歩惟様よりバトンをお受けいたしました北海道紋別セントラルホテルの田中夕貴と申します。
私は、北海道のオホーツク海沿岸のほぼ中央に位置する紋別市で生まれ育ちました。皆様は流氷をご覧になったことがありますか?
私が子どものころは、毎年1月下旬になるとシベリアからの冷たい北風とともに流氷が現れ、わずか数日で海面すべてを覆い見渡す限り真っ白な流氷原野となりました。雪と氷の極寒の季節が2カ月続き、その後、少しずつ流氷が沖へ去っていき、長くて厳しい冬が終わります。港では待ちに待った毛蟹やニシンの漁が始まり「海明け」がオホーツクに春の訪れを伝えます。ちなみに桜が咲くのは5月です。
当時の私たちや特に漁師たちにとって流氷は厄介者と思われていました。それが徐々に流氷のお陰で海が育ち豊かな漁場になるということや、毎年オホーツク海に氷が誕生することによって世界の海水温を下げる冷却装置の役割を果たしていることなどが分かってきました。私たちにとっても地球にとっても大切な流氷ですが近年では温暖化により量は激減しています。世界の氷る海の南限にあたるオホーツクに暮らす私たちは、その変化を目の当たりにして強い危機感を感じています。
流氷は、災害ではなく美しい姿を見せながら私たちに自然環境の変化を知らせてくれている地球からのメッセンジャーと言えます。流氷観光で訪れるお客様にそのようなことをお伝えするのもオホーツクで暮らす私たちの使命と感じています。ぜひ奇跡の流氷に会いに来てくださいね!…
(JKK=全旅連女性経営者の会リレーコラム)
(トラベルニュースat 2024年9月25日号)
- 麻雀卓を囲むお客様の笑顔 神奈川県湯河原温泉/旅館グリーン荘・室伏里美さん(24/10/30)
- 札所めぐりで思いを馳せる 埼玉県秩父市/御宿 竹取物語・福田歩惟さん(24/08/30)
- うとぅいむち精神を大切に 沖縄県那覇市/ホテルサンパレス球陽館・金城良子さん(24/08/01)
- 仲間に触発され包丁握る 福岡県北九州市/割烹旅館かねやす・本田桂子さん(24/07/01)
- JKK設立20周年を思う 福岡県宗像市/御宿はなわらび・小林佳子さん(24/05/29)
- 新しいことに挑戦する町で 大分県別府温泉/美湯の宿両築別邸・緒方真美さん(24/05/02)
- 改めて障害者差別解消法を考える(24/04/18)